2019 Fiscal Year Research-status Report
触媒効果による界面破壊メカニズムの解明と転写型3D印刷技術への応用
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19K05237
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
金澤 周介 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 研究員 (60783925)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 印刷 / MEMS / カンチレバー / センサ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では光触媒作用による界面破壊をデバイス製造プロセスに応用するための基盤研究を行っている。 2019年度には光触媒層の表面に樹脂の膜を形成し、その付着力が光触媒作用でどのように変化するかを詳細に解明する実験を行った。結果、ウレタンやエポキシ、ポリイミドなどの汎用的な樹脂の付着力が、基板への紫外線照射時間に応じて低下することを明確に確認することができた。ここから、構想した光触媒による界面破壊を確実に起こせることが確定した。具体的には紫外線照射前は200~300mN/mmであった付着力を紫外線照射によって100分の1程度まで大きく減少させることができた。この付着力のスイッチング効果によって別の基板に樹脂層を容易に転写することが可能となり、本研究で目指す3次元構造体の転写形成の実現性が大幅に高まった。注目すべき点は、光触媒層の表面に複数の樹脂層を積層した場合にも、同様の界面破壊を起こせる点である。つまり、転写できるのは単層に限られず、複数層を一括で転写できることが充分に示唆された。よって光触媒層上でデバイスのプレ構造を充分に形成することが可能であり、転写形成する中空構造を充分に機能修飾できる可能性が示された。以降は具体的なデバイス設計からプロセス技術としての最適化を図るとともに、デバイスの動作を得ることで技術の有用性を示すフェーズへと進む予定である。 上述の進捗内容を学会発表2件、論文発表1件で発信している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
提唱した光触媒による界面破壊を検証から実現し、デバイス作製に充分適用なことを示した。さらに当該成果を学会報告し、2019年度日本印刷学会研究発表奨励賞の受賞に繋げていることから、研究進捗と高いインパクトの両面で大きな成果が得られていると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の検討で光触媒作用による界面破壊を明確に確認することができた。今年度はそれをデバイス製造プロセスに適用するための検討へと進める。まずは構想するプロセスをもとに作製する具体的なデバイス設計を行う。カンチレバーやダイヤフラムなどの中空構造体を使った機械変位デバイスを対象とする。センサやアクチュエータに利用することで、形成される樹脂の柔軟性を生かした性能向上を図る。対象とするのは主に力センサや変位センサとする。 また作製したデバイスの評価から既存のセンサからの性能向上を明確に示すとともに、耐久性の確認など実用性の面も並行して評価する。課題が出た場合は材料検討やプロセス条件の改訂をもとに改善を図り、デバイス製造技術としての完成度を高める。 以上の検討を今年度は単素子を中心に展開し、翌年度(2021年度)には印刷技術の特長を生かした大面積多点デバイスへと発展させる予定である。
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Causes of Carryover |
目的とした材料探索を計画よりも早く検討を終えることができたため、材料費に余剰が発生した。今後行うデバイス作製の資材(フォトマスクやメタルマスク、導電インクなど)の調達に充当することで、デバイス評価を拡充する予定である。
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Research Products
(3 results)