2021 Fiscal Year Research-status Report
Multivariate analysis of angle-resolved polarized Raman spectroscopy - inhomogeneity in relaxor ferroelectrics
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19K05252
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
塚田 真也 島根大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (90570531)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 康裕 立命館大学, 理工学部, 講師 (50432050)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ラマン分光 / 強誘電体 / 多変量解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
強誘電体は誘電材料や圧電材料として使われており,分極のゆらぎを調べることで,材料の機能(誘電性・圧電性)をミクロな視点から理解することができる。ラマン分光法は,その分極揺らぎを調べる強力な手法の1つであり,我々は光の偏光の情報を詳しく取得する「角度分解偏光ラマン分光法」で強誘電体が有する機能の理解を試みている。 角度分解偏光ラマン分光法では,従来のラマン分光で1つのデータしか得られなかったところで散乱配置の異なる多くのデータを取得でき,ラマンテンソルの情報を加味することにより,振動数や幅といった動的な情報だけでなく結晶構造のような静的な情報(ラマンテンソルの対称性)も取得できる。しかし,大量の情報を一度に取得するので,物質に関わる情報を省くことなく効率的に解析する手法が求められていた。1つの解決法に行列の分解があり,2019年度は多変量曲線分解という行列を分解する手法を角度分解偏光ラマン分光法に初めて導入し,大量のスペクトルを効率的かつ情報を落とすことなく格子振動の情報を抽出できることを典型的な強誘電体であるチタン酸鉛で示した。この成果により,スペクトルの解析作業が大きく軽減された。2020年度は,様々なリラクサー強誘電体を様々な温度において角度分解偏光ラマン分光実験を実施した。多変量曲線分解を用いて効率的に解析を行い,異なる試料間の情報を比較した結果,高温においてナノメートル領域にピコ秒で揺らぐ分極や格子のダイナミクスを捕らえることができた。2021年度は,この解析の効率化を基に,様々な強誘電体へと研究対象を広げるとともに,第一原理計算を基にした格子振動の可視化を行った。以上より,概ね計画通りに研究は進んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
種々のリラクサー強誘電体において実験を行い,結果の一部を論文として公表した(Japanese Journal of Applied Physics, Vol. 60, 035505, 2021)。さらなる論文の執筆や国際会議での発表,追加実験の必要性を感じ,当初の予定(3年間)より1年間研究期間を延長する。
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Strategy for Future Research Activity |
論文の執筆や国際会議での発表,追加実験を行う。
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Causes of Carryover |
さらなる論文の執筆や国際会議での発表,追加実験の必要性を感じ,当初の予定(3年間)より1年間研究期間を延長する。 今年度に繰り越した予算は,分光器の修理・改良と研究成果発表(論文執筆,学会発表)に使う。
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Research Products
(10 results)