2019 Fiscal Year Research-status Report
スピントロニクス技術を用いた人工ニューロンの理論設計
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19K05259
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
松本 利映 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (10635303)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | スピントロニクス |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、スピントロニクス技術を用いた人工ニューロン(スピントロニクス・ニューロン素子)の基本構造の提案に関する論文の校正等を済ませPhysical Review Applied誌の掲載に至らせた。広く一般にも周知するため、この成果の論文をフランス国立科学研究センター(Centre National de la Recherche Scientifique、CRNS)のオープン・アーカイブ HAL(Hyper Articles en Ligne)にも登録した。 人工ニューロンだけでなく、高速低消費電力な磁気メモリMRAMは機械学習用Approximateコンピューティングへの応用が期待されている。電圧書込み方式はMRAMの低消費電力書き込みを可能にする方式として注目を集めている。1/1000未満の低い書き込みエラー率(WER)が得られる電圧パルス時間幅の許容範囲を長くする方式を申請者は提案していたが、この方式におけるWERを低下させる方法を更に検討した。数値シミュレーションを行った結果、「電圧パルス印加前後の垂直磁気異方性を高くする」か、「垂直磁気異方性を高くしつつ外部磁界を大きくする」ことでWERを下げることができることがわかった。この成果についてAIP Advances誌で発表し、国際学会MMM2019でも発表した。 この方式を発展させ、さらに低消費電力な書込み方式の着想に至った。通常の電圧書込み方式では電圧印加中に垂直磁気異方性を低下させるが、新しい方式では垂直磁気異方性を増大させる。増大された垂直磁気異方性磁界が高速に磁化を歳差運動させるので電圧パルスは短くて済み、結果的に低消費電力に書込むことができる。応用物理学会においてこの原理を提案し、arXivにプレプリントを登録した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
スピントロニクス・ニューロン素子に関する研究は進捗できていないが、機械学習用Approximateコンピューティング向けMRAMの書込み方式を提案できた。
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Strategy for Future Research Activity |
さらに低消費電力な電圧書込み方式のMRAMについての研究結果をまとめあげ、論文発表を行う。スピントロニクス・ニューロン素子の高性能化のための研究と2つのスピントロニクス・ニューロン素子の同期についての研究も行いたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症対策のため学会が中止となり旅費として使用することができなくなった。次年度使用額となった分は、2020年度のストレージ購入に充てる。
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