2023 Fiscal Year Annual Research Report
鉄薄膜界面の電子状態変化による界面磁気構造・相転移の制御
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19K05261
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河内 泰三 東京大学, 生産技術研究所, 技術専門職員 (80401280)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 良雄 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 磁性・スピントロニクス材料研究拠点, グループリーダー (10361198)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 磁性薄膜 / 酸素欠陥 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究において、XBaTiO3(001)基板上にメスバウアー分光用のプローブ核種である57Feを超高真空中で真空蒸着を行い、大気中でX線回折測定を行った結果、基板BaTiO3(001)上に立方晶BaFeO(3-x)薄膜をエピタキシャル成長させることに成功した。XRDスペクトル上には、不純物となる酸化鉄は形成差rていないことを確認した。成膜条件は、BTO(001)基板温度300℃で57FeをMBE法で4nm蒸着した。引き続いて、成膜した試料に関してメスバウアースペクトルを測定した。成膜下試料のBaFeO(3-x)は四重極分裂した成分として過去の文献値の六方晶BaFeO(3-x)の中で最大値に一致した[E. Mashkina, et al., J. Sol. Stst. Chem. 177 (2004) 262]。従って、過去のバルクBaTiO(3-x)文献値の立方晶BaFeO(3-x)のFeのd電子配置には大きな歪みが加わっていることが分かった。 国内外の研究動向としては、立方晶BaFeO(3-x)に関しては、当初強誘電体のBaTiO3が着目されており、様々な元素種をBaTiO3にドーピングすることが図られていた。しかし、BaFeO(3-x)が更に良い、磁気特性、プロトン伝導特性を担保できる可能性があると現在着目されているが、エピタキシャル薄膜の物性評価や理論計算は、進んでいない。本研究の位置づけとしては、立方晶BaFeO(3-x)薄膜に着目し、表面界面の効果を踏まえ、磁性、電子状態の直接観測することに成功した。 BaFeO(3-x)(001)/BaTiO3(001)エピタキシャル成長に成功したので、 “断面磁気観測法”で用いる内部転換電子メスバウアー分光法を用いることにより、深さ分解測定手法で、57Feサイトの電子状態、磁気構造測定を行うことが可能となった。メスバウアー分光では、d電子軌道の配置は、核準位の四重極子分裂して観測されるため、磁性に加えてd電子軌道配置の解析が可能であり、57Feサイトの荷電状態及びd電子スピン状態の分析を行うことが可能となった。
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