2019 Fiscal Year Research-status Report
Direct Observation of Hierarchical Crystallization of Water on the Polymer Surfaces at the Mesoscale.
Project/Area Number |
19K05263
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
源明 誠 富山大学, 学術研究部工学系, 准教授 (70334711)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ナノ・メゾスケール / 水の結晶化挙動 / 振動分光法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,手法の制限から評価領域も物理化学現象も異なる情報,すなわち,熱量測定法から得られるバルク水の結晶化挙動と界面水の振動スペクトル構造を比較・議論し続ける状況を打破するために,表面ナノ・メゾスケール領域の水の結晶化挙動をin-situで階層的且つ選択的に評価可能な振動分光装置を開発し,バルク水と界面水の結晶化挙動の直接的評価により,これまでになされてきた上述の議論・問いに対する明確な解答を導き出すことを目的とする。初年度は,固体表面ナノ・メゾスケール領域に限定し分光学的に評価できる高多重反射近赤外分光素子を設計・制作した。また,それと並行して,ノニオン性高分子ブラシ膜,イオン性高分子ブラシ膜,および両性イオン性高分子ブラシ膜の分光素子表面への導入を試みた。分光素子の制作では,分光学的理論に基づき,固体表面90ナノメートル・100ナノメートル・250ナノメートル・350ナノメートル以内を限定的に分光評価できる素子を作成し,シラノール表面およびシランカップリング剤により作成したメチル基およびフェニル基表面上の液体水の振動スペクトルの測定を可能にした。分光素子上の高分子ブラシは,表面開始原子移動ラジカル重合法により調整し,近赤外領域の全反射分光により評価可能であった。重合時間と全反射吸収スペクトルの強度の間に正の相関が認められ,高分子ブラシを分光学的に直接評価できることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初目標である固体表面のメゾスケール領域内を限定的に評価可能な分光系を確立することができ,また,高分子ブラシ構築による弊害もないことが確認できた。一方,水が凍結可能な温度(273 K)より十分に低い温度域まで冷却可能な分光系の構築はなされていない。現段階において,260 K程度を実現しているが,過冷却状態を維持する場合が多いことから,固体表界面の水の結晶化挙動の追跡には至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
現在,分光系の冷却システムとして,液体窒素を用いたセルを基調に制作しているが,より簡素なペルチェ素子を用いた冷却システムの設計も同時に進める。また,表面開始原子移動ラジカル重合法による高分子ブラシの調製において,より厳密な膜厚制御を実現するための調製条件を探る。本研究において,高分子ブラシのブラシ長制御は,高分子表面のナノ・メゾスケール領域内での水の結晶化挙動を明確にする上で重要な基盤技術であると考えられる。
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Causes of Carryover |
当初見積額から納品時において減額があった。次年度において,実験試薬の購入に充てる。
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