2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of atomic force microscope combined with synchrotron radiation X-ray for measurement of elemental species distribution on surfaces at the nanoscale
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19K05266
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鈴木 秀士 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (30322853)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 非接触原子間力顕微鏡 / 放射光X線 / 元素分析 / ナノスケール / 表面・界面 / 半導体 / ゲルマニウム / 空間分解能 |
Outline of Annual Research Achievements |
今後の表面/界面の物性研究では、ナノ構造を構成する原子の元素情報や化学状態の理解がますます重要になる。そこで我々は、非接触原子間力顕微鏡(NC-AFM)の空間分解能で表面化学分析を実現することを目指し、NC-AFMと放射光X線を組み合わせた「X線支援原子間力顕微鏡(XANAM)」を開発してきた。NC-AFMの研究では、探針-試料間に働く原子間力には、van der Waals力と静電気力の他、共有結合力も含まれる事が既に知られている。我々は、共有結合力の電子密度を変化できればNC-AFMの力信号の変化が観測でき、これを試料元素固有のX線吸収端エネルギーのX線励起で行えば、試料表面の元素マッピングできると考えた。しかしこれまでは、「X線でNC-AFMの原子間力が変化し試料表面の元素マッピングが可能」とは示せたが、空間分解能の到達限界の検証には至れなかった。そこで本研究では、Ge半導体表面でXANAMの空間分解能の到達限界を検討した。 実験は放射光施設KEK-PF(茨城県つくば市)で行った。試料はSi基板上に作成したGe量子ドット(Ge-QD)(名古屋大学大学院工学研究科 宮崎研究室より提供)を用いた。前年度の結果から、Ge表面でもGe-K吸収端の11103 eV付近で力信号の応答があるとわかっている。そこでフォースカーブの連続測定による力の3次元データΔf(x, y, z)をX線エネルギー(E)掃引しながら行い、Ge-QDに関する力信号の4次元データΔf(x, y, z, E)を取得した。これより、少なくとも数ナノメートル程度の空間分解能でX線誘起の力信号応答が計測可能とわかった。同測定では、Ge-QDをSiで被覆すると応答が得られないことも確認できており、元素マッピングに共有結合力が介在していることが強く支持される。より精密な測定ならば原子分解能も十分到達可能と期待された。
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Research Products
(6 results)