2019 Fiscal Year Research-status Report
Bond engineering for quantum dot formation in nitride semiconductors
Project/Area Number |
19K05268
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
伊藤 智徳 三重大学, 工学研究科, 招へい教授 (80314136)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋山 亨 三重大学, 工学研究科, 准教授 (40362363)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 量子ドット形成機構 / 窒化物半導体 / 計算機シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度はAlN/GaN系におけるひずみ緩和機構(格子不整合転位形成および量子ドット形成)ならびに成長様式(2次元転位成長および3次元島成長)に関する検討を行った。具体的には、原子間ポテンシャルを用いた大規模計算により、AlN基板上のGaN薄膜の格子不整合転位芯構造として5-7員環で構成される構造が安定になることを明らかにするとともに、その転位形成エネルギーEdを評価した。また、第一原理計算に基づく表面エネルギー計算手法により、表面再構成を考慮した量子ドット構成(0001)表面および(10-13)ファセット表面の表面エネルギーγを算出した。計算結果から、γの成長条件依存性が(0001)表面では大きいこと、一方(10-13)ファセット表面では小さいことを明らかにするとともに、その結果としてN過剰条件下では(10-13)表面のγが(0001)表面のγよりも小さくなる一方、Ga過剰条件下では逆の傾向になることを見いだした。さらに、これらの計算結果に基づいてAlN基板上でのGaN薄膜における成長様式を、転位形成エネルギーEd、表面エネルギーγを用いた自由エネルギー表式により評価した。計算結果は、N過剰条件下では(10-13)面ファセットを持つ3次元島(量子ドット)成長となるのに対し、Ga過剰条件下では(0001)表面が安定化した2次元転位成長となることを示唆しており、分子線エピタキシャル成長による実験結果とも定性的に一致した。以上の結果からAlN/GaN系においては表面エネルギーγが、ひずみ緩和機構ひいては成長様式を決定する重要な因子であることを明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の検討課題としていたAlN/GaN系における歪み緩和機構について、その成長条件依存性と支配因子を見出して一定の成果を収めている。また、2020年度における検討課題としている成長条件におけるそれぞれの表面での吸着・脱離に関しても、GaN(0001)表面において予備的成果を収めている。以上の研究成果から、本研究課題はおおむね順調に進展していると判断される。
|
Strategy for Future Research Activity |
2020年度はAlN/GaN系に加えて、AlN/AlGaN系およびGaN/InGaN系を対象とした格子不整合転位芯構造、ファセット形成について検討を行う。また、これらの検討に加え,ひずみ緩和表面での中間成長過程について検討を行う。具体的には、GaN(0001)表面およびGaN(10-13)表面を対象として、量子論的アプローチにより温度-分子線圧力の関数として吸着-脱離境界を定めることで、それぞれの表面での吸着・脱離の成長条件依存性を検討する。さらに、これら表面のエネルギーおよび吸着・脱離の挙動から、AlN/GaN系における量子ドットの形状を膜厚および成長条件の関数として定量的に評価する。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染拡大に伴い、成果発表を予定していた年度末の会議が相次いで中止となったため、旅費において次年度使用額が生じた。次年度秋以降の成果発表において旅費として使用する予定である。
|