2020 Fiscal Year Research-status Report
Dynamics measurement of interfacial reaction at Au thin film/Si substrates by using ambient controlled x-ray photoemission spectroscopy
Project/Area Number |
19K05269
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
豊田 智史 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 准教授 (20529656)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | シリコン半導体 / 金薄膜 / 表面・界面反応 / 光電子分光 / 深さ方向解析 / 最大エントロピー法 / 正則化法 / オペランド計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
Si半導体とAu金属は現代の情報化社会を支える基盤材料であり、常温常圧で互いに安定な物質であることは広く知られている。一方で、Au蒸着膜/Si基板界面 を形成すると室温でも非常に不安定になってしまうという意外な事実もある。 本研究では、長年議論されてきた「Au薄膜/Si基板界面において界面拡散層は存在するのか?それとも、界面は急峻なのか?ならば、低温でSiO2が表面に析出 するのは何故か?」という学術的な問いに答えるため、雰囲気制御X線光電子分光を用いた動態計測によりAu薄膜/Si基板の系に特有の界面反応の起源を明らかす ることを目的とする。令和2年度は、新型コロナウィルス感染拡大防止により移動が大きく制限されたことを受けて、高速スペクトル解析および高速深さ方向分布解析ソフトウェアの開発に注力した。 高速スペクトル解析ソフトウェアの開発では、様々なタスクのオーバーヘッドを徹底的に削るようコーディングを工夫し、マルチコアCPUによるマルチスレッド処理を実現することで、1秒あたり600本程度のスピードでピークフィッティングできることを示した。高速深さ方向分布解析ソフトウェアの開発においても同様にマルチスレッド処理を実現し、スパースモデリング(L1ノルム正則化法)による学習と最大エントロピー法による推定を1秒あたり1分布程度のスピードで可能にした。これらにより、今後の時空間計測ビッグデータ化による高負荷な解析処理に対応できるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和2年度は新型コロナウィルスの活動自粛が継続したことにより、放射光利用実験や今後の試料準備等に係る見通しを立てることができなかった。そこで、計測実験のカウンターパートとして計画を立てている高速スペクトル解析などのソフトウェア技術に注力することに方針転向し、正則化法とブートストラップ法を融合し、軟X~硬X線での角度分解法による深さ方向分布時系列解析を実現可能にすることを目標とした。既に、解析プログラムの基本動作の検証は完了しており、最終年度では時空間データ解析まで実現する。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度も引き続き新型コロナウィルスの活動自粛が継続することが予想される。シミュレーション検証を強化して進めるとともに、今後の計測ビッグデータに対応した解析処理の高速化に努める。具体的には、レプリカ交換モンテカルロ法や非平衡系反応拡散方程式を取り込んだ解析を行い、それらのシミュレー ションと計測データを同化させ、Au-Si界面の不安定性メカニズム解明へつなげることを計画している。これらは、物理現象に対応する汎用性を高めるアプロー チである。イジング模型ベースのレプリカ交換モンテカルロ法、微分方程式ベースの非平衡系反応拡散方程式(流体解析が必要となればナビエ=ストークス方程 式)の異なる2つの視点から、空間3次元と時間1次元に分解した多元素・多層膜の反応動態解析技術の確立をめざす。
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Causes of Carryover |
計算資源(ハードウェア)の新規購入を予定し、物品費として計上していたが、新型コロナウィルス感染拡大の影響に伴う世界的な半導体不足により製品出荷が延期された。これに加えて、研究発表の場である学会などがオンライン開催となったため、出張経費の必要性がなくなった。そのため、物品費と旅費の内訳を当初の使用計画から変更が必要となった。令和2年度の研究開発としては、既存の計算資源を利活用することとし、ソフトウェアの開発に注力したため、実質的な進捗遅れは無い。最終年度使用額分に回すことによって、開発状況に応じた的確な計算資源の導入による成果最大化をめざす。
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Research Products
(5 results)