2019 Fiscal Year Research-status Report
真空紫外短パルスレーザーをプローブとする新しい表面分析技術の開発
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19K05273
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
横谷 篤至 宮崎大学, 工学部, 教授 (00183989)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 真空紫外光 / 真空紫外レーザー / 光脱離分析技術 / 集光照射光学系 |
Outline of Annual Research Achievements |
本学では、真空紫外レーザーをプローブとした新しい分析技術の開発を、光源から解析技術までを総合的に進めている。真空紫外域の光は光子エネルギーが高いことに加えて極短パルスレーザーとすることで、時間・空間分解能の高い分析技術できる可能性を本質的に有している。 本研究では、その中でプローブとしてレのレーザー照射部の開発を目的とし、その光源の持つ時間・空間分解能をさらに高めることができる照射装置を開発することを目指し、レーザーを複数のビームに分岐し、光学ディレイをもうけること、軸外し照射でかつ照射スポットを一部のみ重ねて照射することできる簡便な照射光学系の作製を行った。 原理や考え方は単純だが、軸外し照射系とすることで、集光特性・相対的な照射位置を保ったまま必要な場所に照射するために、光学系の調整がかなり複雑となる。本研究では、コンピューターで最大8軸の微調整を行うことによってこれを簡単に行える装置の開発を開始した。 本年度は、本実験を行うにあたり、まず光源であるレーザーの安定性を確保する必要があった。このため同時進行で、光源の整備を行い、時間的にも空間的にも安定なレーザー出力を得た。これに当初予定より大幅に費用が必要となった。このため、照射部のハードウェアは、種々光学部品を組み合わせて自作することとし、光学ディレイ・軸外し照射機能をピエゾインパクトアクチュエーターによる微調整が可能な装置を構築した。 自作装置のため、微調整部の機械的安定性に問題があったものの、複数のピエゾインパクトアクチュエーターを、連動して動作させることで、分岐した各ビームの集光特性およびディレイ時間を保ったまま、相対的な集光位置をスポットサイズより十分小さな分解能で動かすことができることを確かめることができた。 次年度は、上記の機械的不安定性の改善・ディレイ時間の調整も含めた装置に仕上げていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は真空紫外レーザーをプローブとした新しい分析技術の開発のレーザー照射部の開発を目的としているが、その開発そのものにオリジナリティーが高いため、光源から解析技術までを総合的に進める必要がある。本年度の研究開始直後、照射装置の開発にあたり、まず光源であるレーザーの安定性が重要であることが判明した。使用しているレーザーは、これまでも本研究のために使用してきたものであるが、そのために性能が劣化しており、それを当初性能の時間・空間的に安定したレーザー出力に整備する必要があった。これに当初予定より大幅に費用と時間が必要となった。これに連動して、こ照射部のハードウェアは、外注を諦め、種々光学部品を組み合わせて自作することとした。 以上の理由が、当初計画より、研究遂行が遅れている理由であるが、本質的に研究中断するほどの大きな影響はでておらず、次年度以降の研究を行っていく中で、十分取り戻せるレベルであると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在の装置は、自作装置にピエゾインパクトアクチュエーターを、装着したことで、アクチュエーターとリニアガイドなど光学機器との接合部が脆弱であったため、アクチュエーター作動分解能を大きく上回る不安定性が発現しており、これの改良が第一課題となる。 それに加えて、アクチュエーターの数を増やして、光学ディレイの微調整も同様にコントロールする必要があるため、本年度の経験を基礎としてシステムアップしてゆく。 また、本年度は、上述のような遅れがあったため、パソコンから集光装置への命令は、まだ、あらかじめこちらが決めた、個々の小規模の動作をオープンループ的に出力していただけだが、これをプログラムに組み込むことで、複数の小規模動作を組み合わせて多彩な照射(例えば直線・曲線状スキャンや面内ラスタースキャン、繰り返し照射によるデプス計測用の動きなど)ができるように開発を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
3月に研究会にて、成果発表を予定していたが、コロナウィルスの影響で出張が中止となったため。
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