2020 Fiscal Year Research-status Report
Gas species dependence of the vacuum conductance affected by the surface effect in nano space
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19K05275
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
高見 知秀 工学院大学, 教育推進機構(公私立大学の部局等), 教授 (40272455)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関口 敦 工学院大学, 工学部, 教授 (90814765)
大家 渓 工学院大学, 教育推進機構(公私立大学の部局等), 助教 (50549962)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ガラスピペット / 真空コンダクタンス / アルゴンガス / 窒素ガス / 水 |
Outline of Annual Research Achievements |
先端内径が数百ナノメートル以下のガラス製ピペットは、ナノプローブだけでなく、ナノ加工ツール、そして一つの細胞への様々な物質の検出や注入などに応用されている。申請者らは、ナノピペットを用いたプローブ顕微鏡観察とイオン選択性ピペットと細胞へのインジェクションを可能とする「走査型マイクロインジェクション顕微鏡」を実現するための要素技術開発を、基盤研究(C)の援助の下に行った。その結果、ナノピペット先端コーティング技術だけでなく、ナノピペットに気体を通したときの真空コンダクタンスを計測するための手法を新たに開発し、内径と内壁清浄度が本手法により非破壊的に計測・確認できることをつき止めた。そこで本研究では、この基盤研究(C)の成果をさらに発展させ、様々な状態のピペット内壁と、様々な気体について、ナノピペットの真空コンダクタンスを計測する装置を開発し、先端径と内壁清浄度を非破壊的に計測する手法を確立することを目的としている。 令和2年度は、気体成分を分けて分圧を計測するために、真空装置下流側に質量分析器を導入した。そして、水(水蒸気)を導入して、これらのガスにおける真空コンダクタンスの押し圧依存性の計測を試みた。その結果、先端内径が1マイクロメートル以上のピペットについては現状の実験装置でアルゴンガスでの真空コンダクタンスが計測できるが、1マイクロメートル未満になったときに測定結果の確度に問題があることがわかってきた。ピペット内において先端が細くなっているテーパー部分だけでなく、その後の内径0.6 mmのガラス管部分もコンダクタンスの値に影響を及ぼすことがわかった。そして、粘性流領域ではポアゾイユの式を用いて先端内径を解析できることも示唆された。 また、本研究の副次的な成果として、金を強酸を用いずに交流を用いてアルカリハライド水溶液に溶かす技術を開発した。この成果はChem Lett.に報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
酸素ガスや水(水蒸気)での真空コンダクタンス計測の前に、初年度で作製した実験装置で真空コンダクタンスを計測すると、1マイクロメートル以上のピペットについては現状の実験装置でアルゴンガスでの真空コンダクタンスが計測できるが、1マイクロメートル未満になったときに測定結果の確度に問題があることがわかってきた。この原因を現在究明している。
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Strategy for Future Research Activity |
現状の装置での計測の問題点を解明して、その解決方法を探索する。一方で、ガラスピペットの内壁修飾については確立された手法があるので、その手法で内壁修飾されたピペットでのコンダクタンスの計測を行う。そして最終年度にあたり、成果のとりまとめを行う。
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