2019 Fiscal Year Research-status Report
GaN系単結晶層の高温スパッタエピタキシーとそのデバイス応用
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19K05276
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
六倉 信喜 東京電機大学, 工学部, 教授 (30166227)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | GaN系半導体 / スパッタリング法 / エピタキシャル成長 / 高温成長 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該研究では、高周波マグネトロンスパッタリング法により高品質なGaN系半導体単結晶層の成長が目的である。これまでスパッタリング法においては、比較的低温での成長例が多いため、高温領域を含めた成長温度依存性について検討を行った。また、反応ガス(Ar/N2)の混合比やガス圧力を変化させた成長についても検討を行った。ノンドープGaN層の成長においては、成長条件(特に、Ar/N2ガス混合比)を変化させることによって、サファイア基板上へ供給されるV/III原子比の制御が可能であることが明らかとなった。一般的にスパッタリング法を用いた成長においては、原子の供給量を制御することは困難であるため、単結晶層の高品質化には重要な成果である。また、ノンドープAlN層の成長においても同様に、基板上へ供給されるV/III原子比の制御が可能であるが、ターゲットのスパッタ率等の違いから、GaN層の場合とは異なる傾向を示した。スパッタリング法によるエピタキシャル成長のメカニズムにおいては不明な点が多いため、V/III原子比の制御は、この解明にも重要である。スパッタリング法は成長中のガス圧力が低いため、結晶表面の原子が脱離し易く、その結果、得られた単結晶層の電気的・光学的特性に影響を与えてしまう。そこで、GaN層の表面状態について検討を行った。成長条件の違いによる表面の組成比や大気中での汚染状態を調べることで、他の成長方法で得られたGaN層と異なる点を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
成長条件を広い範囲で変化させてGaN系単結晶層の成長を行ったが、得られた単結晶層を系統的に検討するには、安定的に成長を行う必要がある。特にスパッタリング法においては、プラズマを持続的に安定させることが重要である。当該年度は、プラズマの発生や持続の制御に時間を要したため、単結晶層の高品質化が遅れている。その様な中でも、基板上へ供給されるV/III原子比の制御が可能となったため、有意義な成果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
単結晶層の高品質化を推進するためにも、プラズマの安定性は重要である。高周波電極や電源系統について、早急に点検・調整を行い、GaNやAlN層の他、当初計画していたInN層や混晶層の成長を行う。更に、不純物ドーピングやデバイス形成技術の確立を目指す。それぞれの結果をフィードバックし、結晶品質やデバイス特性の向上を目指す。
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Causes of Carryover |
当該年度は、プラズマの発生や持続に時間を要してしまい、研究を更に推進するためには優先的にこれらを改善する必要がある。当初は、設備備品として高温成長のための基板加熱装置と高温耐用高周波電極の購入を予定していたが、現有のプラズマ発生用の高周波電源と自動整合装置に問題が生じていることが判明したため、使用計画を変更することとした。そこで、基板加熱装置と高温耐用高周波電極は現有のものを部分的に高温耐用材料に交換することで対応し、次年度使用額と翌年度分の助成金の一部を合わせて高周波電源と自動整合装置の購入に使用する予定である。
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