2023 Fiscal Year Annual Research Report
高品質GaAsN系超格子の成長と励起子に関する研究
Project/Area Number |
19K05295
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
牧本 俊樹 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (50374070)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | GaAsN / MBE / PL / エキシトン / 光伝導特性 / AlGaAsN / 励起子 |
Outline of Annual Research Achievements |
GaAsNおよびAlGaAsNをRF-MBE法で成長するとともに、これらの薄膜を評価することにより、以下に示す3点の研究成果を得た。 (1)品質が高いことが期待できる580℃などの高温で成長したAlGaAsNに関しては、X線回折スペクトルにおいて、AlGaAsNに対応する鋭いピークが得られていなかった。このように、比較的高温で成長したAlGaAsNの特性が良くなかったために、AlGaAsNのPL発光は報告されていなかった。これに対して、本研究では、580℃で成長したAlGaAsNのX線回折スペクトルにおいて、AlGaAsN層に対応する鋭いピークを観測できた。この結果、AlGaAsNのPL発光を初めて観測することに成功した。これらの結果は、本研究のRF-MBE法で成長したAlGaAsNが高品質であることを示している。 (2)従来の研究では、不純物ドープしたAlGaAsNの電気伝導に関する報告は無かった。そこで、AlGaAsNへBe不純物をドーピングしたところ、p型の電気伝導特性を初めて確認することができた。そして、AlGaAsN中のAl組成が高くなるとともに、Beアクセプタ準位が深くなることを明らかにした。 (3)GaAsNの光伝導特性において、バンド端付近に現れるピークに関して検討したところ、このピークは励起子に由来する可能性が高いことがわかった。この結果は、GaAsN中の電子の有効質量が重くなるので、励起子の束縛エネルギーが大きくなったために、室温でもGaAsN中の励起子が安定に存在することを示している。また、光伝導スペクトルから、GaAsN中の多数キャリアの寿命を評価した。その結果、GaAsN中の多数キャリアの寿命は、GaAs中の多数キャリアの寿命と同程度であることを明らかにした。これらの結果は、本研究のRF-MBE法で成長したGaAsNが高品質であることを示している。
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