2019 Fiscal Year Research-status Report
多段階高温成長法による半極性AlN仮想基板の低転位化と深紫外発光ダイオードの研究
Project/Area Number |
19K05297
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
定 昌史 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 専任研究員 (20400020)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 半極性面 / エピタキシャル成長 / AlN / AlGaN / 双晶 / 発光ダイオード |
Outline of Annual Research Achievements |
半極性AlNの高品質化と深紫外発光素子の実現に向け、今年度は2種類の半極性面について研究を行った。 (11-22)面:これまで高品質AlNを実現しているMOCVD成長に対し、より安価で大量生産が可能なスパッタ成長によるAlN成膜と品質評価に取り組んだ。サファイア基板上の初期膜にスパッタ法を用い、MOCVD法による再成長と組み合わせることで、従来に匹敵する品質のAlNが成膜可能であることを見出した。また、AlGaN成長温度を従来より高温にすることにより、AlGaN膜中への酸素不純物取り込みを1/10以下に抑制できることを見出した。 (10-13)面:m面サファイア基板上の(10-13)AlN成長では、成長時の表面状態の対称性に起因して面内配向が180°異なる双晶が発生し、結晶性や表面平坦性が劣化することが問題となっていた。そこで、本研究では微傾斜サファイア基板を用いることで表面対称性を低下し、双晶の発生を抑制することを検討した。その結果、サファイア基板a軸方向にオフ角を持つ基板を用いることで単一の配向性を有するAlN成膜に成功した。配向方向はオフ角の正負に対応することから双晶のうちどちらの配向方向を選択するかも制御可能である。いっぽう、c軸方向のオフ角では双晶抑制効果は観測されなかった。双晶の抑制に伴い、AlNの結晶性は劇的に向上し、XRC半値幅は1/10まで減少した。この高品質AlNを用いることで深紫外域におけるAlGaN量子井戸からの室温フォトルミネッセンス、ならびにLED発光を観測した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予備実験として成果が得られている(11-22)面に関しては、成長方法の拡張ならびに不純物取り込みを抑制する成長条件の探索など、半極性AlGaN LED実現に向けて着実な成果が得られている。 いっぽう、(10-13)面については表面構造対称性に基づいた微傾斜基板の採用を検討することで、予測通りの双晶抑制に加え結晶性の大幅な向上を実現した。
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Strategy for Future Research Activity |
(11-22)面については引き続き不純物を低減する成長条件の探索を行い、LED実現を目指す。(10-13)面についてはAlGaN膜の表面平坦性を改善することでLEDの高出力化、高効率化を目指す。
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響により2-3月の実験および出張計画に修正が生じたため。次年度使用額は実験遂行にかかる消耗品費に用いる。
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