2021 Fiscal Year Research-status Report
磁気光学結晶-on-insulator基板の実現とナノフォトニクスへの応用
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19K05300
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
太田 泰友 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (90624528)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 磁気光学 / 薄膜光学材料 / 磁性ガーネット / ナノフォトニクス / フォトニック結晶 |
Outline of Annual Research Achievements |
磁気光学材料である単結晶イットリウム鉄ガーネットの薄膜を絶縁体層上に融着した磁気光学結晶-on-Insulator基板の形成を目指した研究を進めている。同基板は、スピンオングラスを用いたウェハ融着、研磨、ドライエッチングを組み合わせることで形成を進めている。今年度はより再現性の高いプロセス条件を探索し磁気光学結晶-on-Insulator基板のさらなる高品質化を目的に実験を進めた。ウェハ融着プロセスをプラズマ活性化による直接接合を用いることで同過程を簡素化しつつ高品質な融着が可能であることを見出した。これにより、研磨時における磁気光学結晶の欠損が抑えられ、より大きなガーネット層を維持できることが分かった。膜厚制御のためのドライエッチングでは、プロセス安定化のためのレシピを検討し、適切なチャンバークリーニングにより膜厚制御性を高められることを見出した。 微細加工を目的としたドライエッチング技術の開発も進め、数100nmの微細な空孔を形成できることを確認した。一方、ハードマスクの形状制御等が重要になることも判明し、一層のプロセス改善にむけてマスク形成に関する条件探索を行った。 数値計算においては、Faraday回転を増強可能なナノフォトニック構造について検討した。磁気光学結晶-on-Insulator基板の利用を前提し、メタ表面やフォトニック結晶構造においてどのような条件でFaraday回転が増強されるのかについて、パラメータを様々に変化させつつ有限要素法による数値電磁界シミュレーションを進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の狙い通り磁気光学結晶-on-Insulator基板の形成に成功し、その高品質化を継続的に進めることができている。同基板の利用を前提とした磁気ナノフォトニクス構造の検討も進んでいる。これらのことを勘案し、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は安定的なデバイス作製を実現するために、より大面積な磁気光学結晶-on-Insulator基板の形成を目指す。ここにおいては、ウェハ融着、研磨、ドライエッチングのすべてにおいてより一層の条件調整が求められることが想定される。これまでの知見を活かすことで、短期間でのガーネット層の大面積化を目指す。 微細加工のためのドライエッチングについては、ハードマスクの制御およびエッチング条件の調整を行うことで、100nm程度の微細な空孔をエッチングできる手法を確立することを図る。 また、上記の技術開発に合わせて数値計算による磁気ナノフォトニクス構造の検討を一層加速する。ファラデー回転子について特に注目して検討を行い、高い光透過率と大きなファラデー回転を同時に実現可能でありかつ実際に作製することのできる構造について検討を深める。
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Causes of Carryover |
想定外の装置の故障等により予定よりも実験に遅れが生じ、その結果研究プロジェクトの延長に至った。この計画変更に合わせて次年度使用額も発生した。来年度は、より一層のプロセス改善のための実験に予算を利用するとともに、最終年度として成果発表のための費用としても使用する予定である。
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