2019 Fiscal Year Research-status Report
Optical manipulation of nanofluid network and optical neuron circuit
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19K05302
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
大平 泰生 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (10361891)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡 寿樹 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (00508806)
新保 一成 新潟大学, 自然科学系, 教授 (80272855)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ナノ流体 / アゾ微粒子 / 自己組織化 / 光操作 / 光ニューロン回路 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,本研究課題の要素技術の核心を成す,液体中におけるアゾベンゼンポリマー微粒子の光変形特性について調べ,流体の自己組織化への応用について検討した。本研究の目的のひとつである,アゾ微粒子を用いた光変形性を付加したナノ流体の自己組織化過程の制御技術となるものである。我々はこれまでに空気中のアゾ微粒子の光変形における可逆性について明らかにしてきた。ここではさらに,シンプルな液体系として純水を取り上げ,純水中におけるアゾ微粒子が空気中と比べて極めて大きな変形形状を示すこと,および液体との複合系における熱力学的性質が付加されることで多様な変形形状を得られることについて明らかにした。またこれらの結果を踏まえて,アゾポリマー粒子を用いた流体の自己組織化作用について理論的に検討した。さらに,流体構造の光学特性の制御性を付与するために液晶媒質に注目し,これまで開発してきたアゾ薄膜による液晶ドロップレットからの液晶流路形成技術をマイクロ液晶流路の光形成に応用展開する手法を開発した。液晶マイクロ流路の光形成の諸特性,流路形成条件およびその制御性を検証した。また円筒ガラス細管内のマイクロ液晶流路の液晶・水界面における,蛍光分子の光物質移動について実験的に検証した。併せて液晶ドロップレット内に形成した水界面での光物質移動についても調べた。以上の基盤的研究成果をナノ領域における近接場光を用いたナノ流体制御へ応用展開するために,光近接場における液体を援用したナノアゾ粒子の光変形,アゾ粒子と液晶ドロップレットのプラズモン操作について考案し,その予備実験をスタートさせた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,アゾベンゼン微粒子によるナノ流体の自己組織化制御の要素技術について調べた。特に,液体におけるアゾ微粒子の光変形の基本特性について明らかにした。純水中におけるアゾ粒子の光異性化反応における大きな光変形率と多様な変形形状を持つことを明らかにした。さらに,本研究課題の応用展開につながる成果を得ている。アゾ薄膜上への液晶マイクロ流路の光形成の諸特性を解明するとともに,円筒ガラス細管のマイクロ液晶流路中の液晶・水界面における光物質移動,液晶ドロップレット内に形成した水界面の光物質移動についても調べた。またこれらを近接場光によるナノ流体制御へ応用展開する手法についても検討した。今期得られた成果は,アゾ粒子の光異性化反応を用いたナノ流体の自己組織化作用の基本特性の解明とその制御性を得るために重要な基礎データになるものと考えられ,今後,ナノ流体のネットワーク構造の光操作と生体模倣機能探索への展開が期待できるものである。
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Strategy for Future Research Activity |
開発した要素技術をナノ流体の自己組織化制御に応用展開させていく。特に,ナノ領域の流体ネットワーク構造の光操作へと進展させる。具体的には,ナノサイズのアゾ微粒子の光変形と液体との相互作用について検証し,これらの複合系への光励起に伴う液体の分布変化について調べていく。また,ナノメートル領域に局在する近接場光を用いたアゾ微粒子の光変形によるマクロ・ナノスケールでの流路形成について検証する。さらに,マイクロ液晶流路および液晶ドロップレット系の光励起や光散乱特性を調べる。これらの異種ナノ液体システムに形成したナノ液体界面における蛍光分子の光物質移動について調べ,その光学特性の変調効果について検討する。さらに,これらの結果を統合することで,光により制御することができるナノ液体と界面現象によりもたらされる,生体模倣機能について検討していく。また,研究成果は国内学会や国際学会にて報告を行うとともに,学術論文への投稿も行っていく。
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Causes of Carryover |
年度末に少額の残額が生じたものである。残額は次年度の消耗品等の経費と合算することで使用する予定である。消耗品には装置開発と改良に必要な光学部品や実験実施に必要な有機材料や金属材料などを購入する予定である。
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