2019 Fiscal Year Research-status Report
Multiple control of light using nanostructured multi-core optical fibers
Project/Area Number |
19K05309
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山本 和広 九州大学, 先導物質化学研究所, 助教 (40455449)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 堅三 徳島大学, ポストLEDフォトニクス研究所, 特任講師 (00501826)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 光ファイバー / 表面プラズモン / MEMS / ラボオンファイバー / マルチコア / 光制御 / 集束イオンビーム |
Outline of Annual Research Achievements |
光ファイバーは光を用いた情報伝達、センシング応用の主要デバイスであり、その機能化が求められる。通常光伝送部位(コア)を一つ持つ光ファイバーに対し、コアを多数有するマルチコアファイバーまたは光ファイバーを束ねたファイバーバンドル構造は、伝送パワーを抑えた情報伝送量の増大化、多値伝送およびセンシングの多チャンネル化による感度向上などの観点から活発に研究されている。こうした多コア構造の各チャネルを独立かつアクティブに制御できれば、光機能の高度化だけでなく医療、天体計測等多くの分野への応用が期待できる。 本研究課題では、研究代表者が独自に開発した光ファイバー上ナノ構造作製法を応用し、光伝搬領域(コア)を多数有するマルチコアファイバー/ファイバーバンドル構造へのナノ構造集積、外部信号による独立制御により多分野への応用を目指している。初年度はこれまで開発した単一コアファイバー上ナノ構造作製法を市販のマルチコアファイバーに適用する手法の検討を行った。コア数7、コア間隔35ミクロンのマルチコアファイバーに対し、金属(金)薄膜を製膜し、外部研究機関の集束イオンビーム(FIB)装置に適合した加工治具を作製することで線幅100nmの構造作製に成功した。またFIB加工後の緩衝フッ酸溶液による選択的ウェットエッチングにより、単一コアファイバーと同様にコア上に自立したナノ構造の形成に成功した。現在加工方法を検討し、電極構造を形成することで微小電気機械システム(MEMS)構造を実現し、マルチコアファイバー出射光のスペクトル、偏光を個別制御することをを目指している。またマルチコアファイバーで実現する光機能として光の出射方向制御があげられるが、初年度においては数値シミュレーションにより、コア出射光の集光、平行化、偏向が作製可能な構造で実現できることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度はマルチコアファイバー上光ナノ構造の設計、作製に注力した。しかしながら当初予定していた外部の微細加工作製装置(集束イオンビーム装置)が変更となったため、作製条件の検討、再現性の確認に時間を要した。また実験環境(デバイス作製、光測定を行う実験系)の移転を行う必要があり、移設および再構築にも時間を要した。現在実験系移設を完了し、デバイス作製においても最小線幅100nmの構造作製を完了しているため、次年度において速やかに光計測を実施し、最適デバイス構造の決定を行う。光ファイバーバンドル構造に関しても未着手となったため、次年度において遂行する。またこれまでの研究成果の論文発表について、初年度内では未採択となったため、論文投稿料を次年度に繰り越し速やかに発表する。一方で有限差分時間領域法(FDTD法)による数値シミュレーションにより、スペクトル変化だけでなく、ビーム集光、平行化、ビーム偏向に関して作製可能な構造で実現可能なことを明らかにしたため、次年度において速やかに実装する。
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Strategy for Future Research Activity |
研究環境の変更に伴って当初予定から実施できていないファイバーバンドル上ナノ構造作製および光計測を速やかに実施し、マルチコアファイバー構造との比較検討を行う。またデバイス作製条件を決定できたため、速やかに数値シミュレーション結果に基づく最適構造の作製を実施し光機能を確立する。具体的には、MEMS構造の導入による各コアの独立した光スペクトル制御および光分布(パターン)制御を行い、本構造に接続する次段光ファイバーへの光ファンアウト実験を行う。また異分野への応用を目指すために、適応可能性の探索を主に数値シミュレーションにより行う。具体的には、生体内光カテーテル応用に関しては、光ファイバーの曲げによる光信号変化の評価、天体応用、生体模倣を志向したマルチチャンネルセンシングに関しては、コアの独立制御による偏光、スペクトル変化の評価を実施する。
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Causes of Carryover |
実験環境の移設に伴い、当初予定していた実験機器の選定・導入に遅延が生じた。また論文投稿の実施に関して、初年度内での受理、出版に至らなかったため論文投稿料を次年度に繰り越すこととし、速やかな出版を目指す。またこれまでの研究成果発表を予定していた国内会議、国際会議に関しては中止となったため、次年度において対外的に発表する。また光測定系の見直しにより次年度において初年度に未導入となった長作動距離対物レンズを速やかに導入する。デバイス作製に関しても次年度前半での外部機関での作製回数・期間を増やすことで研究を加速する。上記に伴い研究分担者への分担金に関しても次年度へと繰り越し、本年度実施予定であったデバイス作製および光計測を、集中的に実施する。
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