2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of a one-shot point diffraction interference microscope using a geometric phase shift
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19K05311
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
水谷 彰夫 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (50400700)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 幾何学的位相 / 偏光イメージセンサー / ワンショット位相分布測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
無染色の細胞を生きたまま透明物体の位相像,あるいは透明接着剤の硬化過程の位相像などを観察するための顕微鏡として,ワンショット観察可能な外乱に強い共通光路型の定量位相差顕微鏡の開発を目的とする.干渉計には点回折干渉計を用いる.点回折板としてピンホール内部と外部で金属細線の方向を互いに直交させたワイヤーグリッド偏光ピンホールを適用することで,ピンホール部分を通る参照光と残りの部分を通る物体光を直交偏光で分離できる.また,集光スポット径と同等のピンホール径を実現でき,理論に近い水平分解能で試料を観察できることを実証した.しかし,位相シフト素子にバビネソレイユ補償板を利用していたため,位相像の算出のために1/4波長ずつシフトした4枚の画像を取得するには,くさび部分を動かす必要があり,動く試料を観察できなかった. そこで,ワンショットで観察するために, 4方向のマイクロ偏光子アレイを各画素に配置したモノクロ偏光イメージセンサーと1/4波長板を用いて,幾何学的位相シフトにより1/4波長ずつシフトした4枚の画像を同時に取得し,位相像を得る方法について研究をすすめた.実際に電子線レジストの100μm角の穴パターンを赤色の准単色SLD光源で撮影し位相差が得られたが,測定精度が悪く誤差が生じた. また,異なる波長に対する位相分布が得られると,位相接続が不要となり波長以上の光路差の物体が測定可能となる.そのために,当初は液晶チューナブルバンドパスフィルターと白色光源を用いることを考えていたが,白色光源では集光スポットが大きくなり,正確な位相分布が得られないことが分かり,光源をファイバ出力RGBレーザーに変更した.しかし,マルチモードモデルにシングルモードで接続したため光強度が弱く,特に青色光はノイズが多く測定できなかった.緑色光と赤色光について測定はできたが,ノイズが大きかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ワンショットで観察するために,赤色の準単色SLD光源に対して,マイクロ偏光子アレイ:0度,45度,90度,135度の4方向を各画素に配置したモノクロ偏光イメージセンサー(FLIR製Blackfly S,500万画素,75fps)と1/4波長板を用いて,幾何学的位相シフトにより1/4波長ずつシフトした4枚の画像を同時に取得でき,位相像が得られることを確認した.また30fpsで画像を取得し,後処理で動画も作成した.しかし,位相差の測定精度が悪く,他の測定器の結果と比べて10%以上の誤差が生じており,原因は調査中である. また,異なる波長に対する位相分布を得るために,当初は液晶チューナブルバンドパスフィルターと白色光源を用いることを考えていたが,白色光源では空間コヒーレンスが大きいため,集光スポットがピンホール径より大きくなり,正確な位相分布が得られないことが分かり,光源をファイバ出力RGBレーザーに変更した.しかし,マルチモードモデルにシングルモードで接続したため,光強度が弱く,イメージセンサーの露光時間を増やしたとしても,青色光は特に低光量のため測定できなかったが,緑色光と赤色光について測定はできたが,ノイズが大きかった.また,波長が変わるとレンズに波長依存が少ないものを用いるなどの光学系全体の考慮が必要となる.そのための波長に依存しないメタレンズの研究も行っており,可視光全域で波長に依存しないメタレンズの設計は達成した.また,幾何学的位相では,フレネルロム波長板などの波長に依存しない1/4波長板を用いると,波長に依存せず1/4波長シフトが得られるが,1/4波長ずつのシフトでなくても,シフト量が分かっていれば位相差分布を計算で求められることが分かった.そのため,フレネルロムのような分厚い波長板でなく,もっと薄い波長板を用いることができる.
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Strategy for Future Research Activity |
赤色の准単色SLD光源に対するワンショット観察については,誤差の低減を目指す.そのために誤差要因の一つとして考えられる課題を検討する.現在,偏光イメージセンサー前の1/4波長板として,バビネソレイユ補償板を用いている.このバビネソレイユ補償板は入射角が大きくなるほど位相差がずれてしまう.そこで,角度依存性の少ない波長板を購入したので,実験を行い,誤差が低減できるか調べる予定である. また,異なる波長に対する位相分布の取得については,一つの方策としては,波長の変化範囲をせまくする方法がある.半導体レーザーの電流変調などが考えられる.もう一つは,まず光強度を強くするには,市販のシングルモード出力RGBレーザーの利用が挙げられるが,マルチモードモデルと比べて非常に高価である.その他,波長依存の少ないレンズの購入が必要かもしれないので,費用対効果と優先順位を考えながら研究を進める予定である.
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Causes of Carryover |
研究の進捗により,当初想定のものとは必要な物品が変わったため. 複数波長測定のために必要な機器を選定予定.
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Research Products
(1 results)