2019 Fiscal Year Research-status Report
EUV波面シンセサイザの開発と実時間・超深度ナノイメージングへの応用
Project/Area Number |
19K05314
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Research Institution | Tokyo Polytechnic University |
Principal Investigator |
豊田 光紀 東京工芸大学, 工学部, 准教授 (40375168)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 哲男 兵庫県立大学, 高度産業科学技術研究所, 准教授 (30451636)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 多層膜ミラー |
Outline of Annual Research Achievements |
大開口数(>0.2)を実現する極紫外線(EUV)多層膜ミラー結像系は、明るい高分解能像が得られる一方で焦点深度が浅く、ポリマーのリアルタイム破壊観察や3次元CTなど、深い合焦領域が必要な応用分野への適用は困難である。本研究では独自に開発した、多層膜ミラー波面の0.1nm精度制御技術を 基に波面を自在に変調する、EUV適用の「波面シンセサイザー」を開発する。さらに、これを波面コーディング法と組み合わせ、①分解能の劣化なく、②実時間で、③焦点深度を拡大する、新しい超深度EUVイメージング法を実現する。これにより、EUV顕微鏡を学会・産業界で広く活用される実用システムとして位置づけたい。 研究は「波面シンセサイザー」機能をもつ多層膜対物ミラーの開発、および、顕微鏡の構築と超深度イメージングの実証に大別される。以下に、今年度の研究内容を示す。 全幅探索法による「波面シンセサイザ」解の探索:EUVにおける波面コーディング法の鍵となる低次収差の動的変調のため、2枚の回転対称非球面ミラーに、積極的な偏心(ミスアライメント)と荷重変形を加え安定して0.1nm精度で波面を制御する新規解を探索した。探索には、独自の全幅探索法[Opt. Rev. 18 441]を拡張した設計手法を考案した。本手法では、2面の非球面ミラーからなる直入射光学系を仮定し、ミラーの並進およびチルトで生じる偏心コマ収差および球面収差、さらに、ミラーへの曲げモーメント印加で生じる非点収差を最適化パラメータとして、実現可能な設計解を大域的に探索することができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度に予定していた、多層膜ミラー光学系の大域的設計手法の開発が順調に進展しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度以降には光学設計を決定し、さらにEUV多層膜対物ミラーの試作を行う。 試作では、①多層膜ミラーの成膜②精密ミラーホルダの開発・光軸調整の3ステップが必要となる。Mo/Si多層膜ミラーは、現有マグネトロンスパッタ装置および実験室反射率計を活用し成膜する。また、現有のミラーホルダのミラー変形機能を基に、波面シンセサイザの光学仕様を満たす新規品を、兼務先の東北大・多元研技術室と共同で開発する。
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Research Products
(3 results)