2021 Fiscal Year Annual Research Report
双非等方物質からの電磁応答におけるトポロジカル効果
Project/Area Number |
19K05319
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
井上 純一 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 主幹研究員 (90323427)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 双非等方物質 / 電磁場応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,双非等方物質,特にTellegen mediaとトポロジカル物質の関係を明確にすることにあった.電磁気学における構成方程式が電気磁気交差項を含む系は一般にはマルチフェロイックス物質と呼ばれ,これまで誘電体における磁気応答や,磁性体における誘電応答の観点で研究が進められてきたが,本研究代表者は,電気磁気交差項の存在がトポロジカル効果に起因する物性に本質的な役割を果たすことを見通し,電磁波を用いたトポロジカル絶縁体薄膜の簡易判定法を提案するなどしてきた.本研究はこれを一歩進めることを主目的とした.ローレンツ変換と双対変換の知見を利用して,電気磁気交差項が物質系内部での仮想有効磁場の存在に対応し,これがトポロジカル効果が発現する必要条件であることを見いだした.十分性については今後の継続検討課題とする. 一方,かねてより実験研究者と共同で進めていた検証実験のための準備段階において,セレンディピティといえる成果があり論文報告を行った.1つは,PICナノファイバーで,ファイバー長と太さを制御して発光スペクトルを精査することで,ファイバー中のトラップ準位密度とスペクトル形状の関係を明らかにした.また,チアシアニンナノファイバーマイクロリング共振器(半径5ミクロン程度)において観測された干渉パターンを,coupled mode theoryを適用して解析した.その際,リング形状にするための端面接触領域が干渉パターンに大きな影響を与え,今回,特徴的な構造として見いだされたタブレット構造の起源である事を明らかにした. さらに,前年度報告した,ナノファイバーの温度変化応答として発現する動的不安定性の応用として,適用温度領域が室温,かつ可制御性が高い物質系を見いだし,これのアクチュエータ利用を提案した.
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Research Products
(2 results)