2022 Fiscal Year Annual Research Report
原子力材料健全性評価に資する動的変形挙動/照射硬化への熱活性化影響の研究
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19K05326
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
福元 謙一 福井大学, 附属国際原子力工学研究所, 教授 (30261506)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 照射硬化 / 透過型電子顕微鏡 / 引張試験その場観察 / 転位-欠陥相互作用 / イオン照射 / ステンレス鋼 |
Outline of Annual Research Achievements |
イオン照射した原子力構造材料を用いた室温~200℃までの温度範囲で変形に伴う転位運動および転位-照射欠陥相互作用の動的変形組織観察実験から、運動転位性状変化と障害抵抗強度解析による照射欠陥の内部応力温度依存性による熱活性化過程を通して、微視的スケールからの照射硬化量の定量的評価を行った。 SUS316L鋼に京都大学エネ理工研のDuET施設の加速器による重イオン照射を行った.その後TEM観察用薄膜化した後、TEM内引張「その場」観察は九州大学の超高圧電子顕微鏡にて250℃で実施した.転位チャネルの形成過程を動画で撮影し,障害物である照射欠陥と運動転位の相互作用を観察した.TEM内引張後に試料を加工し,TEMを用いて照射欠陥のうちフランクループ(FL)とブラックドット(BD)の数密度とサイズを測定した.TEM内引張「その場」観察で形成過程を確認でき,たびたび照射欠陥が障害物となり,転位チャネル形成が静止する様子を確認することができた.引張後に実施したTEM観察結果から,FLとBDの障害物間隔を求めた.また他研究より,一般的にTEMでは観察ができないとされている溶質原子クラスタ(SC)の数密度と平均直径をアトムプローブを用いて観察し,溶質原子クラスタの障害物間隔と各障害物間隔を比較し,運動転位をピン留めした照射欠陥の種類を同定した.これより,FLとBDの組み合わせが該当すると確定できた.この結果、溶質原子クラスタは運動転位に対しては強い障害強度因子を持つ介在物としては機能せず、その数密度の大きさによって照射硬化に寄与すること実験的に示された。また室温と250℃での引張挙動による転移-照射欠陥相互作用に大きな変化は見られず、この温度範囲で転位-欠陥相互作用における熱活性化状態変化が見られないことがわかった。本研究成果として国際学術論文1件の受理があげられる。
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Research Products
(2 results)