2021 Fiscal Year Annual Research Report
バックグラウンド低減とタイムスタンプ測定による微量核分裂生成物の崩壊特性の研究
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19K05327
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
柴田 理尋 名古屋大学, アイソトープ総合センター, 教授 (30262885)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 崩壊核分光 / 核分裂生成物 / オンライン同位体分離 |
Outline of Annual Research Achievements |
質量数150以上の半減期が短い中性子過剰核の崩壊核データは235Uの核分裂収率が小さいため詳しく調べられていない。核分裂生成物の崩壊核データは、崩壊熱の評価に重要である上、核構造上も核変形の遷移領域にあり興味深い。KUR-ISOLは、目的とする核種を高強度で分離することができる数少ない装置である。今年度は、β線測定から半減期が1.49 秒と報告されているが、崩壊γ線の同定されていない155Prの崩壊γ線を探索した。昨年度までの153,154Prの実験結果に基づくと、KUR-ISOLで測定できることが期待された。 昨年度開発した貫通孔に設置するβ線検出器のプラスチックシンチレーターの厚さを1mmにしてγ線感度を落とすことでS/Nを向上させて、155Prの崩壊γ線を探索した。ISOLビームの捕集-測定の時間サイクルを、2.5秒-2.5秒、5秒-5秒の2通りに設定し、それぞれ16.5時間、11時間の測定を行った。崩壊γ線の確認のために、①β線との同時計数スペクトル中のγ線およびKX線を調べること、②KX線との同時計数スペクトルを調べること、③多重極度が大きいγ遷移の場合にはKX線の強度が強くなることから、KX線領域のスペクトルの時間変化から親核の崩壊の可能性を探索すること、の3つについて解析した。 155Pr質量分離ビームの強度から考えると、崩壊γ線が確認できることを期待したが、確認には至らなかった。その要因は、核分裂収率が予測より小さいこと、あるいは、半減期がさらに短い可能性があることと、その両方が考えられる。現状の実験設定では155Prについては同定が難しく、改良が必要である。一方、娘155Nd、孫核Pmについては、新たにγ線が確認できた。特に、155Ndについては、新たに7本のγ線と1個の励起準位を同定した。
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