2019 Fiscal Year Research-status Report
Physical properties of molten Zr1-xOx measured by aerodynamic and electrostatic levitation techniques
Project/Area Number |
19K05332
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大石 佑治 大阪大学, 工学研究科, 助教 (20571558)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 溶融ZrO2 / 異常液体 / ガス浮遊法 |
Outline of Annual Research Achievements |
ガス浮遊法により溶融Zr1-xOxの粘性を評価することを目指し、予備実験としてガス浮遊法で浮遊させたZrO2をレーザー加熱によって液滴とし、ZrO2液滴の外観を紫外光をバックライトとしてハイスピードカメラによって観察した。その結果、ZrO2液滴が凝固する際に角のような形状の突起が生じることを見出した。比較のためにAl2O3でも同様の実験を実施したが、凝固時に突起は生成しなかった。 凝固時に突起が生じるという現象は、アーク溶解法によって溶融させたSiが凝固する際にも観察される。通常の液体は凝固する際に体積が減少するが、Siのような一部の物質は逆に凝固する際に体積が膨張することが知られている(異常液体)。角のような形状の突起は、異常液体が外側から冷却凝固して殻を形成し、続いて内部が凝固する際に膨張した体積分だけ外部に飛び出ることで生じると考えられる。すなわち、凝固時に突起が生じるZrO2はSiと同様に異常液体である可能性がある。一方、Al2O3は異常液体ではないために凝固時に突起が生じなかったと考えられる。 突起が生じる上記のメカニズムが正しければ、先に凝固した球状の殻の体積に対する突起の体積が凝固時の体積増加率に相当すると考えられる。そこで、ガス浮遊法で溶融凝固させたZrO2の殻に対する突起部分の体積割合を画像を元に評価したところ、5%程度であった。つまり、溶融ZrO2は凝固する際に5%程度体積が膨張する異常液体であると考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ガス浮遊法でZr1-xOxの粘性を評価する試験を実施するための予備実験の段階でZrO2が異常液体である可能性を見出し、凝固時の体積増加率の評価等を行った。そのため、当初の予定であった粘性の評価試験の進行はやや遅れている。しかし、粘性の評価のために用いるガス浮遊装置やレーザー加熱装置、画像の記録装置等の調整は予備試験によって完了したため、粘性評価の進行の遅れは次年度以降に十分に挽回できると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
ZrO2の体積増加率については、複数の試料を用いて体積増加率を評価し、定量的な評価を進める。また、Zr1-xOxの粘性評価については、ZrとZrO2を混合して焼結することでZr1-xOx試料を作製し、予備試験によって調整が完了したガス浮遊装置を用いて粘性評価を実施する。
|