2022 Fiscal Year Research-status Report
High accuracy analysis of new gas deposits from Cretaceous and Paleogene in Hokkaido on the basis of fluid inclusion and application to mining developments.
Project/Area Number |
19K05358
|
Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
鮎沢 潤 福岡大学, 理学部, 助教 (70184249)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 新規ガス鉱床 / 北海道 / 白亜系 / 古第三系 / 流体包有物 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年4月に提出した「今後の研究の推進方策」に即し、本年度は 1) 対象地域および周辺での地質調査、2) 収集した試料の鉱物種同定と自生ー外来の起源識別、3) 母岩からの自生鉱物分離と試料状態に応じた両面琢磨片の調製、4) 流体包有物均質化温度の測定、 5) 結果の解析ーとくに有機変成度と均質化温度・鉱物転移温度との相関解析、の作業を実施した。限られた時間のもと広域で層位差が大きな区間を対象とする野外調査のため収集した試料の状態は全てが良好とは言い難いものの、研究遂行のうえで必要最少量の自生鉱物を得ることができた。物品(消耗品)費で導入した研磨・琢磨材料を用いた試料の処理、測定と解析を進めた結果、これまで有機変成度の単独情報のみしか存在しなかった地域および層準で古地温との直接的な関係を新たに取得した。ただし地域全体や特定層準を代表する比較的低い有機変成度に対して、一部の試料では明らかに高い均質化温度を示す事例が現れ、流体包有物がホスト鉱物の晶出時に液相が充たしていた初生の容積を正しく維持しているかの追加検証も必要になった。このような問題点はあるものの、分散型石炭化植物片が示す広域的・層位的な有機変成度と自生鉱物に含まれる流体包有物の均質化温度や粘土・沸石鉱物を指標とする転移温度を組み合わせることによる堆積盆の古地熱構造の復元、ガス根元物質の固定・熟成・移動および貯留過程の解析に有用な情報へと繋げるうえでの意味がある。成果の公表に関して2編の原著論文(査読あり)と2編の総説(査読なし)を刊行したほか、論文1編(査読あり)を投稿中である。学会発表とアウトリーチ活動は依然として感染症への対応を余儀なくされたため、研究着手時に計画したとおりの実施には至っていない。この点については今後の研究の推進方策(別項)に示す手順で回復を試みる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
年度当初に作成した今後の研究の推進方策に沿い、概ね計画どおりの展開を行った。推進方策は I. 野外調査、II. 測定の前処理、III. 測定、IV. 解析、V. その他からなる。I.は限られた期間内に広い地域と層準を対象とするため試料の状態には問題があるものの、研究遂行に最少限必要な材料を得ることができた。II.は物品(消耗品)費で導入した研磨・琢磨材料を効率的に用いて必要な調製を従来よりも短時間で進め、状態が良好でない試料についても相応の処理を施すに至った。このような経緯を経てIII.測定とIV.解析で、これまで有機変成度の情報のみが知られていた地域・層準に自生鉱物の流体包有物均質化温度や粘土・沸石鉱物の転移温度情報を組み込むことが可能になった。V.のうち、学会発表とアウトリーチ活動に関しては引続き感染症への対策が求められたため当初の計画どおりには進んでいない。これらに加え、新規収集および追加測定に至る試料の数が十分ではない、試料の状態が良好ではないものが相当数含まれる、正確な温度決定の前提条件となる流体包有物の容積が自生鉱物形成時のまま保存されているかに関し疑義のある事例が生じ追加実験が必要、などの観点から、現在までの進捗状況は全体として (3) やや遅れている と評価した。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究の最終年度にあたり、1) 必要最少限の試料に限っての追加収集、2) 既存試料すべての処理・測定・解析の完了、3) 成果報告書および投稿論文の原稿執筆を進め、可能な範囲で研究成果の学会発表とアウトリーチ活動の準備を行う。1) に関して、手薄になっている地域・層準を無理なく補完できる合理的なルート選定と、航空運賃が安価に確保できる時期とのバランスを採って最少限の野外調査を実施する。ここで対応できない部分は対象地域の鉱山会社・試験研究機関・社会教育機関・個人が保有する試料の譲受ないし借用依頼も視野に入れる、2) は近年新たに供給されることになった研磨・琢磨材料を併用するなどで従来よりも短時間のうちに良好な試料処理と適正な測定および解析が完了するよう工夫を払う。当初予定していた、岩石鉱物の扱に習熟した学生を研究補助アルバイト任用は感染症拡大のもと難が生じてきたが、今年度は状況をみながら問題がなければ謝金の執行を検討する。3) について既に基本部分の作成に着手しており2)項の進捗にあわせて増補改定を行うなどの方策を採ることで完成に向けて一層の作業加速を図る。以上のような対応策により、期間内に所期の研究目的を達成する。
|
Causes of Carryover |
主な理由は感染症拡大と沈静化の繰返しによる旅費の一部未執行、謝金の未執行である。翌年度は引続き感染症対策の推移を見極めて、適切な時期に無理のない旅費と謝金の執行、成果報告書の刊行を念頭においたその他の費目での全額執行を図る。
|
-
-
-
[Journal Article] High δ13C values of methane in residual gas from a secondary biogenic methane reservoir as a possible indicator of thermogenic gas preserved in closed pores2022
Author(s)
Tamamura,S.,Murakami,T.,Ueno,A.,Tamazawa,S.,Kiyama,T.,Inomata,H.,Matsumoto,H.,Uchida,K.,Suzuki,Y.,Aizawa,J. & Kaneko,K.
-
Journal Title
International Journal of Coal Geology
Volume: 251
Pages: 1-11
DOI
Peer Reviewed
-