2020 Fiscal Year Research-status Report
溶融塩高温蓄熱プラントの圧力管理を目指したレーザ加工耐熱FBGセンサの活用
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19K05359
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
西村 昭彦 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 福島研究開発部門 福島研究開発拠点 廃炉環境国際共同研究センター, 研究主幹 (90370452)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 社会実装 / 鉄筋コンクリート柱 / 耐熱FBGセンサ / 構造健全性 / 遠隔監視 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は、耐熱FBGセンサの鋼材への貼り付け技術を確立した。鋼材としては、コンクリート柱補強用の異形鉄筋を用いた。異形鉄筋の縦リブに沿って幅1mm深さ1m長さ30cmの溝加工を行った。この溝の端部に金メッキ加工を行いFBGセンサをナノコロイド銀接着剤で接着した。FBGセンサ部から延びる光ファイバ部分は溝に沿って這わせるように導き、鉄筋の端部から光ファイバ保護コードを取り出した。溝は耐熱エポキシ接着剤を充填して補強した。こうして試作したFBGセンサ組み込み鉄筋を建設中の建屋に組み込んだ。 建屋は、東京理科大学野田キャンパスに建築中の建築学科研究棟である。施工業者の竹中工務店との交渉を行い、特別許可を得てコンクリート打設前に組み上げられたコンクリート柱に2本の鉄筋を番線で固定した。現在、コンクリートが注入されてFBGセンサは柱と一体構造となっている。建屋は完成後に、内装が施され重量機器が据え付けられる。このため、建屋全体に圧縮方向の荷重がかかることになる。耐熱FBGセンサは今後建屋の構造健全性の監視のために、定期的に計測されることが期待される。 依頼論文(査読有り)として、「光技術コンタクト」Vol.58, No.6, pp.25-31,(2020)に、「レーザー加工で作製した耐熱FBGセンサの鉄筋コンクリート柱への現場実装の試み」が掲載された。また、本成果を原子力学会(秋)において発表を行った。また、保全学会に「来るべき未来の舞台」、保全学maintenology, Vol.19, No.3, pp.78-79,(2020)と題する依頼論文が掲載された。 本技術を適用した接合手法は、銅管とSUS管の接合技術として企業に技術提供を打診している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
耐熱FBGセンサを鉄筋に組み込み、建築中の建屋の鉄筋コンクリート柱に組み込むことが出来たことは、予想以上の成果である。 一方で、溶融塩の高温圧力測定のために、高温で加圧試験を行うための容器と加熱方法について準備を進めた。安全上の観点から実験環境として茨城県の東海原科研が不適と判断された。このため、加熱方式を根本的に変更し、電熱ヒーターではなくレーザーによる遠隔加熱を実施することを考案した。 このレーザー遠隔加熱については、機構内の了解が得られたので、令和3年6月に敦賀総合研究開発センターのある福井県敦賀市にて実施する。実施の了解が得られたので、計画はおおむね順調に親展していると云える。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は、令和2年度までに作製した耐熱FBGセンサを使用して、ダイヤフラムへの接着を行う。これを溶融塩加熱容器にセットし、1MPaの圧力下、600℃の高温化での圧力測定試験を実施する。 加熱には、原子力機構敦賀総合研究開発センターの10kWファイバーレーザーシステムを活用する。使用に際して、原子力機構(敦賀)の承諾を得た。現在、加熱準備中である。レーザー遠隔加熱という選択が可能となったため、安全に高温状態に容器を加熱できることが明らかとなった。レーザーシステムには、現在、レーザービームの位置を制御するためのスキャナーが装備されている。このスキャナーを活用し、容器全体を均一温度に加熱できる見通しである。 レーザー加熱にはレーザー操作の熟練者の協力を得ることが出来る。このため、当方は温度と圧力の測定に集中出来る。
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Causes of Carryover |
令和2年度はコロナ禍のために、加熱準備実験の実施を延期した。このため、出張旅費を執行できていない。また、参加した原子力学会もオンライン開催となり、出張費が不要となった。324,146円は出張費に相当する。 このため令和3年度は、福井県敦賀市の原子力機構敦賀総合研究開発センターのレーザー装置を活用して、加熱実験を行う計画である。レーザー装置の利用承諾は既に終え、利用料金の支払いについても妥結した。令和3年度は最終年度であるため、未執行分が生じないように計画を目倒しで実施する予定である。
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