2021 Fiscal Year Research-status Report
溶融塩高温蓄熱プラントの圧力管理を目指したレーザ加工耐熱FBGセンサの活用
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19K05359
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
西村 昭彦 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 福島研究開発部門 福島研究開発拠点 廃炉環境国際共同研究センター, 研究主幹 (90370452)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | レーザー加熱 / ロボットアーム |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の具体的内容は、研究目的と計画に照らし合わせて、耐熱FBGセンサによる圧力測定を目的とした実験のための電気炉の設計と製作及び準備試験を実施した。当初は、日本原子力研究開発機構原子力科学研究所において、600℃の高温を安定維持できる電気炉を製作し、設置運転する予定だったが、機関内ルールや安全衛生上の観点から実施環境を確保することが困難となった。さらに、高温での熱歪計測に関して、協力を得ることを予定していた企業についても新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、予定どおりに協力を得ることが困難になったものの、高出力レーザーによる鋼材切断の実証のため、ファイバレーザーとロボットアームを組み合わせた施設共用が可能な日本原子力研究開発機構 敦賀総合研究開発センターの「ふくいスマートデコミッショニング技術実証拠点」の設備を使用することで、電気炉よりも安価で安全性が高い、圧力測定実験のための加熱源を確保することが出来た。 圧力測定実験では、SUS製小型密閉容器に圧力弁とダイヤフラム板をとりつけ、鉛ビスマス低融点金属を充填した。レーザー出力をkWまで増加させ、レーザービームは容器のT字型形状に合わせて、スキャンするようにプログラム制御し、ダイヤフラムの温度はサーモビュワーにより計測した。FBGセンサはダイヤフラムにエポキシ接着剤を用いて接着を行い、アルゴンガスの加圧は10気圧までとした。 レーザー出力を170Wから950Wまで上昇させた結果、温度は25℃から300℃まで上昇した。これにより、温度影響による見かけの歪は0μストレインから4340μストレインに上昇した。本実験によりレーザー遠隔加熱実験の安全性を確認することが出来、本内容は、日本原子力学会及びOPIC-LSSE2022において発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、「研究実績の概要」に記載したとおり、圧力測定実験に使用する電気炉の製作に困難が生じたもののファイバレーザーによる加熱方式を採用したことにより、当初計画通りに圧力測定実験を実施することが出来た。ダイヤフラム表面の温度分布の計測とダイヤフラム表面の内圧による微小変形をリアルタイムで計測することが出来た。但し、接着剤の劣化がFBGセンサの剥離を引き起こしたため、ナノコロイド銀接着剤を用いて剥離を防止する。これらの成果を学会等において発表出来たことから、おおむね順調に進展している。と判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度において、ファイバレーザーとロボットアームの複合的利用により、安全且つ安定的に小型SUS容器内の蓄熱材量を高温状態で加圧することが可能となった。しかし、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受け、ファイバレーザーとロボットアームを組み合わせた施設共用が可能な「ふくいスマートデコミッショニング技術実証拠点」の利用には、回数の制限があるため、補助事業期間を次年度まで1年度延長し、補助事業期間内の最終確認試験実施を目指す。 特に、ダイヤフラムに実装したFBGセンサについては、接着材の耐性に改善の余地が見いだされた。予備加熱時間の最適化と表面洗浄とメッキ厚を勘案して、接着強度の維持に努める。また、光ファイバセンサ振興協会より委託を受けて、FBGセンサの原子力・土木・建設業界への普及促進のためのマニュアルの整備を開始した。本研究成果の一部をマニュアルに記載して、研究成果のまとめとする予定である。
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Causes of Carryover |
本年度内に実施を予定していた最終確認実験について、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受けて、当初計画どおりに実施することができなかったため、実験に係る費用等が次年度使用額として生じることとなった。次年度使用額は、次年度に実施する最終確認実験で使用する消耗品の購入に係る費用等として使用する。
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