2021 Fiscal Year Annual Research Report
Development of frontier molecular design and reaction control method based on integrated free energy profile analysis
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19K05375
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
麻田 俊雄 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (10285314)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 分子分極 / 原子分極 / 自由エネルギー / 反応経路 / カルバペネマーゼ / メロペネム |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は、過年度に開発した手法を活用することで、はじめに、カルバペネマーゼによる抗生剤の分解反応経路最適化とその経路にそった自由エネルギープロファイルを明確に得ることに成功した。得られた自由エネルギープロファイルは、遷移状態の高さ17.4kcal/molが実験値16.8kcal/molと大変近い値となった。これらの自由エネルギー変化は、真空中の反応と比較すると、4.5kcal/mol程度遷移状態が低くなっており、周辺アミノ酸残基による分解反応促進への効果が定量的に得られた。 つぎに、創薬に向けた抗生剤の分子設計指針を提案した。遷移状態を低下させる原因としては、Arg243からAsp178に向かう静電的な電場効果が強く影響していることを突き止めた。つまり、分解されにくい効果的な抗生物質にするためには、Asp178からArg243側に向かう電場が活性中心に生じるように、メロペネム抗生物質に置換基を導入することで、外部電場による触媒活性を打ち消し、遷移状態を引き上げることが可能になると結論づけた。 本研究課題の目的であるカルバペネマーゼに分解されにくい分子設計指針を提案できただけではなく、今後の汎用な拡張性が期待できる。つまり、我々の独自の方法を使えば、複雑系で生じる化学反応について、自由エネルギープロファイルの起源を原子対毎に詳細に解析できるので、自動的な分子構造提案システムと組み合わさることで、新規感染症予防の創薬に活かす道筋が得られたものであり、社会的意義が極めて大きいと結論できる。
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