2021 Fiscal Year Research-status Report
A theoretical study for the improvement of solvation model by machine learning
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19K05381
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
松井 亨 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (70716076)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 溶媒和モデル / 機械学習 / 密度汎関数理論 / 酸化還元電位 |
Outline of Annual Research Achievements |
機械学習によって、溶媒和モデルの一種であるC-PCMの改善を施すと、有機分子の酸化還元電位は平均絶対誤差(MAE)で0.1V程度まで下がることを示すことができた。溶媒和モデルでは、荷電系(今回の場合は酸化状態)の溶質分子に対するギブスエネルギーを算出すると、必ず誤差を含み特に芳香族環やC-H結合の数などに由来することがその分析により明らかになった。 当該年度の研究は、このスキームと同等の手法で金属錯体の酸化還元電位を算出することを目的とした。これにより、多くの金属錯体における酸化還元電位をCVなどの実験を経ずに予想するシステムを作ることができると考えている。ただ、酸化還元電位の算出に用いる密度汎関数理論(DFT)では、HOMOの軌道エネルギーとイオン化ポテンシャルが一致しないという問題がある。これにより、イオン化ポテンシャルを記述できないDFTにより誤差が出るのか、荷電系洋室のエネルギーを正確に求めるのが苦手な溶媒和モデルを使ったことによる誤差が出るのか、を切り分けることができない問題が出てくる。この問題を解決するために、長距離部分を補正した密度汎関数理論(LC法)を用いて、その長距離部分を選定するパラメータを調整した。以前の研究で用いていた40種類の金属錯体からその一部を取り出して、長距離部分を選定するパラメータを算出した。ここまでのLC法での計算は一般的に用いられるDFTであるB3LYPよりも良い結果を出すことに成功している。 また、酸化還元電位のデータベースを作成するために、既に存在する80,000種類以上金属錯体の構造データベースを用いることとしており、この中で代表的な構造を取得するためにクラスタリングを実行して、その代表構造の酸化還元電位を算出することとしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
溶媒和モデルが特に荷電系で失敗するという事例を作ることに成功した。その一方で、金属錯体の酸化還元電位のデータベース作成にはまだ着手できていない。特にFe(II/III)や配位子にシアン化物を含む錯体において、LC法のパラメータを決定できないという想定外の問題が発生した。この問題の対処に時間を要していることから遅れが出ている。
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Strategy for Future Research Activity |
軌道エネルギーの問題はDFTで用いている変更可能なパラメータの数を増やすことで、対処可能と考えられる。パラメータの数を増やすことで軌道エネルギーの問題を解決した後に、80,000種類ある金属錯体の構造データベースからクラスタリングして、代表的な構造の酸化還元電位を求めてからデータベースにある全ての錯体の酸化還元電位を推測するという方針である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、海外で開催される国際学会に参加できなかったために次年度使用額が生じてしまった。ただ、次年度で海外で国際学会がある保証はないため、残りの額で英語校正と国内の学会参加に充当したいと考える。
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Research Products
(6 results)