2019 Fiscal Year Research-status Report
Theoretical studies on optical activities of helical polymers based on localized orbitals under the periodic boundary condition
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19K05392
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
畠中 正志 東京電機大学, 工学部, 助教 (40772778)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | らせん高分子 / 光学活性 / 旋光強度 / 量子化学 / 局在化軌道 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、近年、合成技術の発展が著しいらせん高分子の光学活性を量子化学的に定式化してその計算法を確立し、同時に実験による検証を行うことを目的としており、周期的境界条件下での局在化軌道を用いて計算上の見通しと効率を高めることを目的としている。理論と実験の両面から基礎学理の確立と応用への展望を図るものであり、これまで、旋光強度の定式化、プログラムの整備、重合実験を鋭意継続してきた。2019年度までに、局在化軌道(ワニエ関数)を用いた基本的な定式化がほぼ完成した。量子化学計算には様々な近似レベルがあるが、本方法は近似不変の定式化を目的としているため、各種の近似レベルに応用可能な柔軟性、一般性の高いものである。プログラムはFORTRANで記述しているが、当座は定評のある拡張ヒュッケルレベルでの完成を目指している。これまで、らせん高分子の座標計算からはじめて、ブロッホ関数の計算、ワニエ関数の計算を含むルーチンが完成した。残りは旋光強度の計算ルーチンのみである。らせん高分子の座標計算はかなり複雑で、注意を要する部分であるが、内部座標から直交座標に変換する方法を模索している。一方、実験ではアクリル系のらせん高分子を重合することに成功し、円二色姓スペクトルから光学活性を確認した。また、らせん高分子の基本骨格の一つであるポリウレットの構造解析とバンド計算を行い、本分野において基礎的な知見を得た。ポリウレットの類縁体であるポリグアニド系の分子についても電子状態に関する基礎研究を行っている。上記の研究成果については適宜、学会発表、論文発表を学生と共著で行ってきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の定式化とプログラミングは複雑な行列要素の計算を含むため、相当の時間を必要とするものと思われたが、ワニエ関数の性質をうまく利用すると、従来から開発済みであったルーチンの一部を活用できることがわかり、研究の進展を早めた。また、実験では生体高分子を触媒としたらせん高分子の重合において、予想よりはるかに結晶度の高いものが得られ、構造解析、電子状態解析の見通しが高まった。また、今回導入したバンド計算ソフトウェアを活用し、らせん高分子の基本骨格であるポリウレットの構造と電子状態を解析、学会発表・論文にまとめた。また、ポリグアニド系の化合物では、光学活性以外の特異な電子状態(磁性)が観測され、副次的な成果ではあるが、論文にまとめた。
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Strategy for Future Research Activity |
定式化においては旋光強度の部分を完成させれば、数値計算に移行できる見通しがある。数値計算ははじめは簡単な構造のものからはじめ、その妥当性を確認する。プログラミングは拡張ヒュッケル法によるコードの作成を鋭意継続していく。座標の計算は初等的ではあるが、相当の時間がかかるものであり、効率的な作成法の開発が望まれる。具体的な検証例として、まずはらせん状ポリアセチレンを検討する。また、合成したアクリル系らせん高分子の構造解析とバンド計算も検討する。理論の定式化と数値計算の基礎が完成した段階で論文にまとめて発表する予定である。
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Causes of Carryover |
今年度の直接経費はほぼ予算通りに執行されたので、わずかな残額は消耗品費として次年度へ持ち越した。
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Research Products
(3 results)