2021 Fiscal Year Annual Research Report
分子性結晶への包接による難分離性混合物の分離を志向した新規鎖状ホストの開発
Project/Area Number |
19K05415
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
服部 徹太郎 東北大学, 工学研究科, 教授 (70241536)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 人工ホスト分子 / 多孔性分子結晶 / 包接 / 異性体の分離 / 光学分割 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.ホストの予備組織化による中性ゲストへの適用性の拡大:アセタール型ジオール4の2置換シクロヘキサン類に対する包接能を計算化学と実験化学の両面から詳細に検討した。1,2-, 1,3-, 1,4-シクロヘキサンジアミンのそれぞれについて,cis-/trans-異性体混合物の競争的包接実験を行った。その結果,trans-1,2-, cis-1,3-異性体に対して,それぞれ94%, 100%の高い選択性が得られた。X-線結晶構造解析により,cis-1,3-異性体は2つのアミノ基でホストの異なるヒドロキシ基と水素結合して1:1包接錯体を形成しており,ホスト-ゲスト間の立体構造の適合性により高い選択性が発現していることがわかった。この構造は,CONFLEXのホスト/リガンド配位探索機能により再現できた。シクロヘキサンジオール類の競争的包接実験においても優先して包接される異性体はジアミンと同じであったが,選択性はtrans-1,2-異性体が60%,cis-1,3-異性体が89%とジアミンに比べて低かった。X-線結晶構造解析により,1,3-異性体の選択性低下の原因は,cis-1,3-異性体の包接結晶中にtrans-1,3-異性体が混在(10%)しうるためであることがわかった。 2.不斉要素の導入による鏡像異性体の包接への展開:3,3’-チオビス[(5-tert-ブチル-2-ヒドロキシフェニル)酢酸]の硫黄原子をスルホキシドに酸化し,一方のカルボキシ基をn-プロピルアルコールでエステル化したキラルなホスト化合物5を合成した。また,キニジンを分割剤に用いてジアステレオマー塩法により光学分割し,得られた結晶のX-線結晶構造解析により絶対立体化学を(R)-(+)と決定した。また,その結晶構造から,ホスト5はかさ高いキラルアミンを効果的に認識することがわかった。
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