2019 Fiscal Year Research-status Report
Syntheses of carbone-carbene binuclear gold (I) complexes and their development of luminescence property
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19K05424
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
藤井 孝宜 日本大学, 生産工学部, 教授 (00283060)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | カルボン / カルベン / 金錯体 / 発光特性 / 金原子間相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,ビスイミノスルファンカーボン(0),(C(Ph2SNMe)2)(1a)の中心炭素にIMe及びIiPrカルベン金(I)(IMe = 1,3-ジメチルイミダゾール,IiPr = 1,3-ビス(イソプロピル)イミダゾール)が,それぞれ2つ配位した2核金(I)錯体の合成を試みた。当研究室で確立した方法で合成したカルボン1aとIMeAuCl又はIiPrAuClとをトリフルオロスルホン酸銀共存化で反応させたところ,目的の単核錯体[Au(1a)IMe]TfO及び,[Au(1a)IiPr]TfOが,それぞれ得られた。次に目的の2核金(I)錯体を合成するため,[Au(1a)IMe]TfO又は[Au(1a)(Iipr)]TfOとそれぞれ対応するIMeAuCl及びIiPrAuClとをトリフルオロスルホン酸銀共存化で反応させた。得られた生成物の1H NMRを測定したところ,不純物が存在するが,目的の2核金(I)錯体[Au2(1a)(IMe)2]2TfO及び,[Au2(1a)(IiPr)2]2TfOが生成していることが分かった。[Au(1a)IMe]TfO及び,[Au2(1a)(IMe)2]2TfOにおいては,X線構造解析により,分子構造を明らかにし,2核金(I)錯体においては,金原子間距離が短くなっており,これらの原子簡易相互作用が存在することを明らかにした。得られた化合物にUV光を照射したところ,それぞれの2核金(I)錯体において,青色に発光することも確認出来た。本結果は,多くの研究者に注目されている金原子間相互作用による光物性に関する研究領域において,これまで実証例がないカルボンの特性を活かし,発光性の多核金(I)錯体が合成できたことは,非常に重要な知見となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,ビスイミノスルファンカーボン(0)1a (C(Ph2SNMe)2)の中心炭素に2つのカルベン金(I)錯体が配位した2核金(I)作田の合成に成功している。また,この2核金(I)錯体は,金原子間相互作用により,発光特性を持つことを明らかにした。カルボン誘導体として,1,8-ナフチル基や1,2-フェニル基を有する,環状カルボンを配位子とした2核金(I)錯体の合成にも着手していることから,おおうね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の進捗状況で記載した2核金(I)錯体において,(1) X線構造解析により分子構造を明らかにする必要がある。特に金原子間の距離を明確することで,金原子間相互作用に基づく発光特性であることを確かめる。また,(2)環状骨格のカルボン誘導体においても,金(I)錯体の合成方法の確立と発光特性の評価を行うとともに,環状カルボンの反応性を利用した金(I)クラスターの合成を試みる。
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