2021 Fiscal Year Annual Research Report
高周期典型元素π電子をもつ未踏高反応性化学種の創製
Project/Area Number |
19K05425
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
箕浦 真生 立教大学, 理学部, 教授 (30274046)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 元素化学 / 典型元素 / ケイ素 / ジシレン / 結晶構造 / ゲルミレン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、高周期元素ケトン類縁体(R2E=Ch,E = Si, Ge, Sn, Pb; Ch = O, S, Se, Te)、反応空間を併せもつ高周期アルケン、アルキンおよびアゾ化合物同族体等のπ電子豊富な高反応性典型元素化合物を合成し、これまで未解明であった典型元素π電子・π結合の特性解明を行い、元素化学の学理構築に繋げ、学術的知的再生産を行うことを目的としている。 これまでに、有用と考えられる嵩高いアルキル置換基(Trp*)を開発し、高周期カルベン同族体であるTrp*2Ge:およびTrp*Sn:を安定な化合物として単離しており、それらの更なる誘導化による高周期元素ケトン類縁体の合成単離にも成功している。アルキン同族体であるTrp*2Si2やそのジアニオン種に相当する [Trp*2Si2]K2や対応するゲルマニウム化合物についても合成単離することが出来、未知であった新しいπ電子豊富な化学結合を含む化学種を得ている。特にジシレンジアニオンについては、ハロゲン化アルキル等による反応により対応する中性のジシレンを与え、含ケイ素二重結合化学種のビルディングブロックとしての有用性を見出すことが出来た。また、化学的酸化反応により、ジシレンジアニオンを対応する三重結合化合物であるジシリンへ誘導することにも成功した。併せて、これらの反応性を検討すると共に結晶構造解析にも成功し、典型元素π電子を含む基本構造パラメータを明らかにした。本研究の遂行過程で、極めて高い反応性を有する化学種の単離方法や構造解析法の開発を行ない、また、溶解性を付与した嵩高い置換基の開発を行い難溶性化合物にも対応可能となったことから、今後の研究を進める上で重要な技術的な進歩もあった。
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Research Products
(14 results)