2021 Fiscal Year Annual Research Report
Synthesis and development of nano-carbon compounds and materials
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19K05428
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
長洞 記嘉 福岡大学, 理学部, 准教授 (30402928)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | グラフェン / 核磁気共鳴分光 / 紫外可視吸収分光 / 硫黄 / 光電子分光法 / 電気化学 / 有機薄膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度では、前年度までに合成した新規ナノグラフェン誘導体の分光学的解析と理論的な考察を行った。炭化水素系のグラフェン誘導体では、核磁気共鳴および紫外可視分光により報告族性を有することが明らかになった。それらのDFT法を用いた理論計算により、2.1から2.7 eVのバンドギャップを有することが見積もられた。さらに、硫黄を含むカチオン性グラフェン誘導体の1H NMRでは低磁場領域に吸収が見られ、反磁性環電流の存在が確認された。紫外可視近赤外分光測定では、750 nmを越える長波長帯に吸収が見られ、顕著なバンドギャップ低下が明らかになった。つまり、分子骨格への陽イオン性の硫黄原子の導入は、分子特性を大きな変化をもたらすことが実験的に証明できた。 さらに、有機薄膜素子開発を念頭に、薄膜作成とその評価を実施した。有機薄膜太陽電池用材料を目指して、薄膜試料を作成し、光電子分光法と電気化学測定を実施した。酸化インジウムスズを基板として、洗浄後、PEDOT/PSS溶液をスピンコートし、加熱乾燥した。合成したナノグラフェン分子の溶液で活性層を製膜した。光電子分光測定を行ったところ、溶液の結果を比較し、吸収帯のレッドシフトが観測され、これは薄膜状態で分子間相互作用が強い積層構造をしていることが明らかになった。電気化学測定では硫黄を含む分子が最もHOMO-LUMOエネルギー準位が低下しており、これは溶液状態で観測された結果と相関があることが明らかになった。
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Research Products
(4 results)