2019 Fiscal Year Research-status Report
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19K05438
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
村藤 俊宏 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (40253140)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アズレン / 典型元素 / ボリン酸 / お椀分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、アズレンの分極特性を活かし、置換アズレンを互いに連結したお椀型π共役分子の合成と、その特異な構造から派生する化学性・物理性の解明を目的としている。令和元年度は、基本骨格となるジアズレニルボリン酸エステルの分子内連結反応と、ボリン酸エステルの安定化に必要な二座配位子が連結反応に及ぼす効果を検討した。連結反応の検討では、アルデヒドによるアズレンへの求電子置換反応を利用してアズレン間を架橋できることを見い出した。また、ホモカップリングを利用してアズレン間を連結することはできたが収率が低く、ホウ素原子周りの狭い結合角が反応の進行を妨げていると考えられた。その他の反応として、DMADによる架橋反応も検討したが、架橋生成物の単離には至らなかった。次に、二座配位子の効果の検討では、ホウ素周りの結合角を拡げてアズレンどうしを接近させ、ホモカップリングの収率が向上するように様々な二座配位子を用いて収率に及ぼす効果を検討した。しかし、収率の目立った向上が見られなかったことから、ホウ素周りの結合角よりも、ホモカップリング反応における反応性の低さが主たる原因で、カップリング反応の効率を上げることが最も重要であることがわかった。反応効率を上げるため、カップリング反応の条件を検討したところ、メタルの選択が重要であることがわかった。二座配位子で安定化されたボリン酸エステルのX線結晶構造解析を行い、ホウ素原子周りの正四面体性(THC)を求めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
お椀分子の前駆体となるジアズレニルボリン酸エステルに関して、X線結晶構造解析に成功し、分子構造を明らかにすることができた。また、このエステルの分子内連結反応が進行することを見い出すことができた。さらに、連結反応に用いるホモカップリング反応では、収率の向上に必要な条件も判明した。以上の理由により、上記の区分に該当すると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
連結化合物の合成法を見い出したので、今後はこの化合物の収率の向上を図るとともに、X線結晶構造解析により分子構造を解明し、光吸収特性を明らかにする。さらに、ホウ素上での求核置換反応によるアズレニル基の導入とカップリング反応を実施し、目的化合物の合成を達成する。
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Causes of Carryover |
(理由)購入した消耗品の支払額が予定金額より安くなったことと、化合物の合成に要した試薬額や溶媒類の消費量が当初の見込みよりも少なくて済んだため。
(使用計画)実験に必要な消耗品の購入に使用する。
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Research Products
(1 results)