2020 Fiscal Year Research-status Report
Computational elucidation and design of luminescent organic elastic crystals
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19K05443
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
河東田 道夫 早稲田大学, 理工学術院, 客員主任研究員 (60390671)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 有機物理化学 / 計算化学シミュレーション / エラスティック有機結晶 / 結晶構造予測 / De-novo分子生成 / 光学活性材料 / 配座異性体 / 分子間相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度はエラスティック有機分子結晶構造予測システムの改良を行った。配座異性体の初期構造発生アルゴリズムの改良として、二面角自由度の初期値の分布をランダムサーチし配座異性体の初期構造群を効率よく発生させるアルゴリズムを開発・実装した。安定構造探索アルゴリズムの改良として、Look Ahead based on Quadratic Approximation (LAQA)法を導入して、安定構造になる確率の高い初期構造を選択的に選び、分子力場計算、密度汎関数強束縛(DFTB)法、密度汎関数理論(DFT)法により構造最適化を行うアルゴリズムを開発・実装した。ジペプチドおよび医薬品分子のテスト分子を対象にテストを行ったところ、安定構造群を非常に効率よく探索可能なことを確認した。さらに、得られた配座異性体の安定構造群の組み合わせから、パッキングされた初期構造を発生させ、分子力場計算、DFTB法、DFT法で結晶構造最適化を行うシステムを開発した。開発したシステムを用いて、医薬品分子などのフレキシブル有機分子結晶の構造予測のテストを行ったところ、実験構造をよく再現することを確認した。 また、光学活性を持つエラスティック分子結晶材料探索を目的として、モンテカルロ木探索とリカレントニューラルネットワークモデルを組み合わせたDe-novo分子生成システムとDFT法、半経験的分子軌道法により光吸収特性(励起エネルギー)と光学活性特性(非対称係数)を自動計算・評価するシステムを組み合わせた、光学活性有機分子自動探索システムを開発した。開発したシステムを用いて、光学活性有機分子探索を行ったところ、既存の光学活性分子データベースに含まれていない分子を効率的に探索できることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画で立案したエラスティック有機分子結晶の合理的デザイン方法の開発の研究については、分子内自由度が多く構造変化も大きいフレキシブル有機分子の効率的な安定構造探索システムの開発に成功した。現在、研究成果の論文投稿を行うことができた(現在審査中)。さらに本成果を組み込むことにより、フレキシブル有機分子結晶の構造予測システムの改良に成功した。また、研究計画にはなかった、未知光学活性分子探索方法の開発の研究については、自動かつ効率的な探索システムの開発に成功し、研究成果の論文発表を行うことができた。 一方で、研究計画で立案したエラスティック有機分子結晶のシミュレーションと実験による弾性機構解明の研究については、一昨年度後期から共同研究に着手したアントラセン誘導体以外の分子結晶の分子動力学シミュレーションによる結晶曲げのシミュレーションに着手したが、現象の妥当なシミュレーションのために適切なモデルサイズおよび外力印加方法を決定することができず、シミュレーションによる評価が上手くいっていない。 また、本務の多忙および新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大の影響により、林講師のグループとの共同研究に遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
一昨年度後期から共同研究に着手したアントラセン誘導体以外のエラスティック有機分子分子結晶の分子動力学シミュレーションによる結晶曲げのシミュレーションについては、、現象の妥当なシミュレーションのために適切なサイズのモデルを取り扱うことを目指し、Lammpsの機能を活用した大規模並列計算と高速化を試みる。妥当なサイズのモデルを取り扱えることが確認でき次第、結晶曲げシミュレーションに適切な外力印加方法の検討・表を行う。結晶の弾性特性についてのシミュレーション研究と実験研究との共同研究については、また、TV会議システムを積極的に活用し林講師のグループと定期的に議論しながら研究時間を確保し共同研究を進める。 合理的デザイン方法の検討および新規材料探索には、今年度改良を行ったフレキシブル有機分子結晶の構造予測システムを積極的に活用し、シミュレーションを進める。 また、結晶構造自動探索シミュレーションの高速化のために、今年度実施したLAQA法により単分子安定配座探索法や機械学習モデルによるDe-novo分子生成システムを分子結晶系に適用できるように拡張を試みる。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大に伴う緊急事態宣言により予定していた国際学会、国内学会、共同研究打ち合わせが全てキャンセルになり、次年度使用が生じた。 使用計画として、研究が順調に進んでいるのに伴い申請当初計画していなかったシミュレーション実施のための大型計算機利用費とシミュレーション結果解析ソフトウェア購入費に充てる予定である。
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Research Products
(1 results)