2020 Fiscal Year Research-status Report
イオンペアリングを基軸とした超分子ポリマーの動的構造変換
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19K05444
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
羽毛田 洋平 立命館大学, 生命科学部, 講師 (70757195)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 超分子ポリマー / イオンペア / イオンメタセシス / π電子系アニオン / π電子系カチオン |
Outline of Annual Research Achievements |
独自に設計・合成したアニオン部位を付与したアニオン応答性π電子系を用い、適切な条件における自己アニオン会合による超分子ポリマーの形成、および対カチオンとの次元制御型集合体の形成を駆動力とした超分子ポリマーの配列制御と機能性集合体の創製を展開した。カルボン酸(パラ、メタ、オルト置換)を導入したアニオン応答性π電子系(周辺修飾体を含む)を合成し、単結晶X線構造解析によって固体中のパッキング構造を明らかにした。カルボン酸(パラ、メタ置換)は分子間で水素結合ダイマーを形成し、また、アニオン応答性π電子系のπ-π相互作用による積層構造が確認された。さらに、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAOH)の添加によるカルボン酸の脱プロトン化によってカルボキシレート体(イオンペア)を形成し、単結晶X線構造解析によって分子間での自己アニオン会合による一次元鎖構造の形成を明らかにした。アニオン性一次元鎖ポリマーはTBAカチオンと交互にレイヤー構造を形成することが分かった。一方、アニオン応答性ユニットの側鎖として脂溶性置換基(ヘキサデシルオキシ基など)を導入した誘導体の合成にも成功した。TBAOHによる脱プロトン化によって形成した長鎖誘導体のTBAイオンペアは炭化水素系溶媒中において適切な温度条件下で超分子ゲルの形成を示した。対カチオンとして平面状構造を有する化学種の導入も検証し、イオンペア形成方法を模索した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
π電子系レセプター-アニオン会合体を基盤とした展開では、基本ユニットの合成、およびそれらの集合体の基本構造を結晶中において明らかにすることができた。π電子系ユニットの周辺修飾に着手し、誘導体の合成を進めつつあり、イオンペア形成条件および組織体形成の条件を精査する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
現状では、当初の計画通り集合体構成ユニットとなるπ電子系イオンの設計と合成を基軸とし、随時、集合体形成挙動の評価を検討する。とくに、さまざまなπ電子系カチオンを導入したイオンペアを検討し、集合化によるバルク形態の制御を試みる予定である。一方、π電子系双性イオンでは基本骨格の合成に着手し、双性イオン体の単結晶X線構造解析にも成功している。基本構造を起点とした誘導化および機能発現に注力し、展開を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
研究計画に変更は無いが、2020年度の活動状況をふまえ、物品費および旅費の使用額が当初予定より少なかったため。2020年度未使用額と2021年度使用予定額を合わせ、研究期間内に全額使用予定。
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