2021 Fiscal Year Annual Research Report
イオンペアリングを基軸とした超分子ポリマーの動的構造変換
Project/Area Number |
19K05444
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
羽毛田 洋平 立命館大学, 生命科学部, 講師 (70757195)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 超分子ポリマー / イオンペア / イオンメタセシス / アニオン会合 |
Outline of Annual Research Achievements |
π電子系配位子を修飾したアニオン応答性ジピロリルジケトンPtII錯体を新たに合成し、脱酸素溶液状態における燐光発光性を見出した。溶液状態ではアニオン会合に依存した燐光発光の変化は小さいことが分かった。ジピロリルジケトンPtII錯体は結晶状態では互いにπ-π相互作用による積層構造を形成した。一方、ジピロリルジケトンPtII錯体とアニオンの共存溶液から作成した単結晶のX線構造解析から、PtII錯体とアニオンが水素結合によって架橋された一次元鎖構造を形成することを明らかにした。結晶構造においてアニオンの対となる嵩高いアンモニウムカチオンは一次元鎖構造の配列の間に配置し、電荷積層型集合体を形成することが分かった。ジピロリルジケトンPtII錯体の単結晶はPtII錯体の積層構造に起因し非常に弱いりん光発光を示すのに対し、アニオン会合体単結晶のりん光発光は増大することを見出した。これはすなわち、水素結合一次元鎖構造がアンモニウムカチオンによって隔てられていることに起因し、ジピロリルジケトンPtII錯体に由来する発光強度の回復が示唆された。このようなイオンペア集合体形成にともなう発光物性の制御はこれまでのアニオン応答性π電子系では見られなかったことから、機能発現に向けた重要な知見としてさらなる展開が期待される。
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Research Products
(27 results)