2021 Fiscal Year Annual Research Report
結晶スポンジレーザー脱離イオン化質量分析を活用した共結晶化有機分子の構造分離分析
Project/Area Number |
19K05447
|
Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
山口 健太郎 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (50159208)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | ベンゾフェノンテトラカルボン酸 / ピラジン / テトラジン / 環状化合物 / アダマンタン / 包接 / 結晶スポンジ / イメージング質量分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
ベンゾフェノンテトラカルボン酸ジイミドをもつ環状化合物と六員環のエーテル化合物類との包接結晶の作製および包接ゲストの構造決定について検討した。 本課題では、アダマンタンの高い結晶性に着目し、各種環状化合物を合成してきた。そこで、3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物とアミノメチル基をもつ二置換アダマンタンから、環状イミドを収率37%で得た。これを1,4-ジオキサンを含むクロロホルム溶液から、再結晶により単結晶を得た。X線構造解析から、ホスト分子は内部空間をもたない菱形の環状構造であり、分子間相互作用によって、一次元のチャンネルを有するネットワーク構造を形成していた。チャンネル内にクロロホルムとジオキサンが包接されており、それぞれの分子構造を決定した。2分子のクロロホルムは1分子の環状化合物の酸素原子とCH/O相互作用しており、クロロホルム間の空間にはジオキサンがCH/Cl相互作用により包接されていた。同様の条件下で、1,3-ジオキサンを包接した共結晶が得られた。環状化合物の構造や配列、共結晶の組成は、最初の結晶と同様であり、ゲスト分子の構造決定に成功した。 この他、二置換アダマンタンとピラジンより環状分子を合成することができた。この環状分子は多孔質結晶を形成し、種々の油状(液体)低分子有機化合物を包接することがわかった。 さらに、ピラジン部位をテトラジンに変えた環状分子を合成した。この化合物も多孔質を示し、内部に低分子を包接することがわかった。これらのフレームワークは結晶スポンジ(CS)として機能し、種々の非結晶性有機化合物のX線構造解析による構造決定に応用できることを見出した。 一方CSを用いて、その細孔内へ鎖長の異なるスチルベン誘導体の取り込みを行い、レーザー脱離イオン化(LDI)によるイメージングMSを試みた。その結果CS存在下、特徴的なイオンを観測した。
|