2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K05456
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Research Institution | Gihu University of Medical Science |
Principal Investigator |
萬代 大樹 岐阜医療科学大学, 保健科学部, 講師 (60534427)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅 誠治 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (50291430)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 有機分子触媒 / 求核触媒 / アシル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らが開発したキラルなDMAP誘導体は、劇的な反応加速効果を伴いながら、エナンチオ選択的なアシル化反応を促進することを明らかにしている。しかし、この触媒系を用いたアルコールのアシル化反応においては、アシル化剤としてイソ酪酸無水物を用いなければ目的物の収率、エナンチオ選択性が低下するという問題があった。その原因としてこれらの反応の鍵中間体であるN-アシルピリジニウム中間体の対アニオンがイソ酪酸アニオンであることが反応加速効果およびエナンチオ選択性の発現に必要であるとの仮説を立て、プロキラルな1、3-プロパンジオールの非対称化(ベンゾイル化)をモデル反応としてN-アシルピリジニウム中間体の対アニオンの影響を調査した。 種々検討の結果、触媒と無水安息香酸から生成するN-アシルピリジニウム中間体に対して触媒量のイソ酪酸を添加すると、予期したとおりエナンチオ選択性の向上と反応加速効果が得られた。これは、触媒と無水安息香酸から生成するN-アシルピリジニウム中間体の対アニオンを安息香酸アニオンからイソ酪酸アニオンに交換され、エナンチオ選択性の向上と反応加速効果が出たものと考えている。引き続き検討を行い、様々なアシル化剤から系内で発生するN-アシルピリジニウム塩(イオン対)は、触媒に組み込んだ極性官能基とどのような相互作用をしながら反応が進行し、エナンチオ選択性が発現しているのか、系統的かつ定量的に吟味し、エナンチオ選択性発現に必須な対カチオンや対アニオンを特定する計画である。 さらに計画を前倒しし、鎖状ポリオールのエナンチオ選択的反応の開発にも取り組んでおり、これまでの触媒ではなし得なかった鎖状ポリオールのエナンチオ選択的反応が進行することを見いだした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画よりも、前倒しして研究計画をこなすことができているため。特に鎖状ポリオールのエナンチオ選択的アシル化反応については、新しい知見がいくつか得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
エナンチオ選択性発現に重要なN-アシルピリジニウム塩の構造解明に関する研究では、想定以上にN-アシルピリジニウム中間体の不均化反応が早く、これをいかに抑えるかが鍵となる。今後はNMR実験や計算化学的手法を駆使し、エナンチオ選択性発現に大きな役割を果たすN-アシルピリジニウム塩の対アニオンを含めた3次元構造や相互作用を明らかにすることで、新しい触媒設計指針を新たに構築する計画である。
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Causes of Carryover |
3万円ほど次年度使用額が生じた原因はCOVID-19の影響のため、在宅勤務が増えたことによるものであり、研究計画や使用計画について特段の変更はない。
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Research Products
(11 results)