2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K05456
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Research Institution | Gihu University of Medical Science |
Principal Investigator |
萬代 大樹 岐阜医療科学大学, 薬学部, 准教授 (60534427)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅 誠治 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (50291430)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 有機分子触媒 / 求核触媒 / アシル化 / 非対称化 / 速度論的光学分割 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らは独自のアプローチでキラルな求核触媒の開発研究に取り組んだところ,ビナフチル骨格に極性官能基を導入したキラルなDMAP誘導体が劇的な反応加速効果を伴いながら,エナンチオ選択的なアシル化反応を促進することを明らかにした.さまざまなコントロール実験と計算化学による検討により,キラルなDMAP触媒に組み込んだ極性官能基が水素結合を通じて反応基質の活性化をすることが,高エナンチオ選択性の発現と触媒の低触媒化(通常0.5 mol %以下)の鍵となっていることを明らかにした(萬代,菅らNat. Commun. 2016, 7, 11297; 有機合成化学協会誌2017, 75, 632). このような背景のもと、本年度は申請者らが開発した光学活性DMAP誘導体を用いて、エナンチオ選択的アシル化反応について調査を行った。鎖状アルコールの一種であるグリセロール誘導体および環状1,3-ジオールのエナンチオ選択性非対称化反応および第三級アルコール(3-ヒドロキシ-3-置換 2-オキシインドール誘導体)の速度論的光学分割を試みたところ、高いエナンチオ選択性で目的物を得ることができた。比較的構造的な自由度が高い鎖状アルコールを用いてもモノアシル化反応のみが進行し、高いエナンチオ選択性が発現することは特筆すべきである。 様々な検証実験を行った結果、求核触媒中に存在する二つの極性官能基(第三級アルコール)と反応基質(アルコール)との間に働く水素結合によって、高い位置選択性およびエナンチオ選択性が発現することを見いだした。今後はさらにヒドロキシ基を有するような複雑な分子を用いて検証を行う計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
エナンチオ選択的アシル化反応については、計画通りの成果が出ているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はより複雑なポリオールを対象としたエナンチオ選択性的または位置選択性的アシル化反応について検討を進めていく。天然資源を出発原料としたエナンチオ選択性アシル化反応あるいは位置選択的アシル化反応について検討をおこない、医薬品、農薬、天然物などの生物活性化合物合成に利用できるキラルビルディングの実践的短工程合成を試みる。例えば、糖、erythritol、D-mannitolの位置選択的アシル化反応などを計画している。ヒドロキシ基の数やその距離、相対立体配置とエナンチオ選択性や位置選択性についての相関関係を明らかにする。
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Causes of Carryover |
前年度の若干助成金が余ったが、年度末に無駄な物品を購入したかったためであり、研究を遂行するうえで特に問題ないものと考えている。
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