2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of regio and stereoselective intramolecular cyclization reactions and their applications to total synthesis of natural products
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19K05473
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
松尾 淳一 金沢大学, 薬学系, 教授 (50328580)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | シクロブタノン / 炭素ー炭素結合開裂 / 形式的環化付加反応 / ルイス酸 / 求核的触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
3-アルコキシシクロブタノンは、ルイス酸の活性化によって開裂し、シリルエノールエーテルと反応して形式的[4+2]付加環化成績体1を与える。今回、シロキシジエンとの反応により、[4+2]もしくは[4+4]型付加環化反応のどちらが進行するのか明らかにすべく検討を行った。また、キラルルイス酸触媒を用いた不斉合成についても研究を行った。塩化メチレン溶液中、3-エトキシシクロブタノンと共役ジエンの混合液に、0 ℃にてルイス酸を加えて反応させた。様々なルイス酸を用いて検討を行った結果、EtAlCl2を用いた場合に最も効率的に付加環化反応が進行し、八員環化合物が選択的に78%収率にて得られた。また、この[4+4]型付加環化反応は、触媒量のEtAlCl2によっても円滑に進行した。次に、シクロブタノン、共役ジエンの置換基が反応に及ぼす影響についても検討を行った。特にジエンのシリル基上の置換基効果は大きく、TBDPS基、TBS基を有するジエンとの反応では八員環化合物のみが得られたのに対し、TMS基を有するジエンは、八員環化合物とともに六員環化合物も得られることが分かった 次に,触媒量のルイス塩基により開環する化合物として1,3-シクロブタンジオンを用いることで,アルデヒドとの触媒的[4+2]型環化付加反応が進行するのではないかと考え研究に着手した。ルイス塩基触媒の検討を行ったところ、KOEtの場合に目的とする6員環化合物が95%と高収率で得られた。アルデヒドの置換基の効果について検討を行った結果、ベンゼン環上に電子求引基および電子供与基を有するアルデヒドやナフチル基およびチエニル基を有するアルデヒドを用いた場合にも,対応する生成物が高収率で得られた。フリル基やアルケニル基,アルキニル基を有するアルデヒドでは,低収率ではあるが対応する生成物を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題で予定していた3つの大きな研究項目の内の一つである「シクロブタンとシロキシジエンとの位置・立体選択的[4+4]型付加環化反応の開発」を完成し、論文として報告した。それに加えて、当初は計画していなかった「求核的ルイス塩基触媒による1,3-シクロブタンジオンを用いるアルデヒドとの環化付加反応」を開発して、論文として発表した。また、本研究課題で計画していたvibralactoneの全合成に関しては、計画していたダブルアルドール反応の他にLiSBnを用いる連続する4つの不斉炭素を構築する分子内thia-Michael-Aldol反応を鍵工程とする立体選択的5員環形成反応を開発したが、さらに短工程の全合成計画を立案し、予備検討を行った。 以上の結果より、本研究課題の進捗状況についてはおおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
容易に入手可能な5ー6員環化合物から中員環化合物への環拡大は、環歪みの増大により熱力学的に一般には困難である。今回我々は、環状1,3-ジケトンのモノビニル化によって生じた3-ヒドロキシ-3-ビニル-クロアルカノンに塩基触媒を反応させることによって、retro-aldol反応と分子内Michael付加反応が連続的に進行し、2炭素環拡大した中員環が生成するのではないかと考え研究を行う。 Vibralactone全合成は、活性メチンプロトンを有する共役1,5-ジカルボニル化合物とアルデヒドとの分子内アルドール環化反応を鍵工程として研究を行う。 nesteretal Aの生合成経路として提唱されているα―ジケトンであるデカンー2,3,8,9-テトラオンの分子内アルドール反応の位置選択性(5員環形成または6員環形成)をモデル化合物の反応によって確認する。 ブレンステッド触媒を用いるα―ジアゾエステルの活性化によるインドールのシクロプロパン化および1,4-シクロヘキサジエンへのC-H挿入反応を開発する。 セレノール(-SeH)基選択的なSnAr反応による芳香環を導入、酸化によるセレノキシドの脱離によってビニルグリシン残基を含むペプチドの合成後、オレフィンクロスメタセシスおよび還元を用いて化学修飾を受けたペプチドの網羅的合成法の確立を行う。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じたのは、学会出席が少なかったためである。翌年度の旅費に次年度使用額を加え、学会に積極的に参加して研究成果を発表する予定である。
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