2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of regio and stereoselective intramolecular cyclization reactions and their applications to total synthesis of natural products
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19K05473
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
松尾 淳一 金沢大学, 薬学系, 教授 (50328580)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | シクロブタノン / 炭素ー炭素結合開裂 / 形式的環化付加反応 / ルイス塩基 / アルドール反応 / マイケル反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
エステルやアミドの触媒的なaldol反応は一般に極めて困難である。触媒的エノラート形成を解決する方法として、触媒量の塩基とニトロアルカンから形成されるニトロナートアニオンとα,β不飽和カルボニル化合物のMichael反応から生じる一過性エノラートを用いたaldol反応(Michael-aldolタンデム反応)を開発した。即ち、ニトロアルカン、α,β不飽和カルボニル化合物、アルデヒドの3成分に対して塩基触媒をDMSO溶媒中で処理することにより、触媒的にβ’-ヒドロキシ-γニトロカルボニル化合物を形成することを見出した。また、生じる一過性エノラートは、DMSO溶媒中において求核性が向上し、反応性のある水素を有するpronucleophileが多く存在するにもかかわらず、aldol反応を進行させることを明らかにした。 1,3-シクロブタンジオンとアルデヒドとの触媒的[4+2]型環化付加反応が触媒量のイス塩基(KOEt)により進行し、6員環β-ケトエステルが生成することを見出した。1,3-シクロブタンジオンにKOEtが求核付加し開環した後,アルデヒドとのアルドール反応,続く環化,エトキシドの脱離により,生成物が形成される反応機構を解明した。 環状1,3-ジケトンのモノビニル化によって生じた3-ヒドロキシ-3-ビニルシクロアルカノンに塩基触媒を反応させることによって、retro-aldol反応と分子内Michael付加反応が連続的に進行し、2炭素環拡大した中員環が生成することを見出した。 fused体とbridged体の2つの生成物が考えられる分子内Diels-Alder(IMDA)反応では、ジエノフィル部分が内側に折れ曲がった遷移状態を経て生成するbridged体は一般に生成しにくい。我々は、fused体ではなくbridged体を選択的に与えるIMDA反応を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
vibralactoneの全合成における4つの不斉炭素を構築する立体選択的5員環形成の鍵工程として開発していたLiSBnを用いる連続分子内thia-Michael/Aldol反応をさらに発展させ、触媒的かつこれまでに報告例のない分子間3成分連結反応を見出したため。この研究によって一過性アミドエノラートの性質について明らかにすることができたが、エステルエノラートの性質も明らかにする予備検討を行うこともできた。 また、特異な環化様式を発現する分子内Diels-Alder反応を見出し、複雑な骨格を一挙に構築可能な手法を開発することができたため。 さらに、多成分連結反応を積極的に用いる複雑な骨格を有する天然物誘導体の簡便合成への予備検討を行うことができ、着実な成果が得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに見出した触媒的マイケル/アルドール3成分連結反応をさらに発展させ、基質適用範囲の拡大と共に、4成分連結反応への展開を検討する。 分子内連続的アルドール/アセタール反応を組み合わせ、多くの酸素官能基を有する環状化合物の位置・立体選択的反応の開発を行うとともに天然物合成への応用を検討する。通常困難とされる、酸素官能基を多く含む基質からの反応制御という面で研究を促進する予定である。 Ugi反応を基軸とした簡便な大環状化合物の効率的な合成法の開発とそれを用いる生理活性物質の合成検討を行う。抗菌活性や神経細胞に対する活性評価を行い、より優れた薬物の開発を有機合成を中心にして行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症の拡大に伴い、一時期研究室が閉鎖になった時期があり、さらに学会がオンライン参加となり、旅費が不必要になったため、次年度繰越金が発生した。次年度は学会に積極的に参加しながら、今までに試薬・設備を有していない生物活性評価を含めた研究活動に精力的に取り組む予定であるため、繰越金を含めた研究費が必要となる。
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