2019 Fiscal Year Research-status Report
Assembly catalysts for adaptive reaction control
Project/Area Number |
19K05483
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
今堀 龍志 東京理科大学, 工学部工業化学科, 准教授 (90433515)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 適応型化学反応制御 / 不斉触媒反応 / 集積性触媒 / 超分子触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、酵素の誘導適合を参考に、弱い分子間相互作用であるπ相互作用で集 積した柔軟な超分子空間を触媒の反応空間に用いることで、反応基質・反応剤に合わせて適 切な反応空間を構築し、円滑に効果的な遷移状態を形成させる、適応型の化学反応制御を実 現する分子触媒を開発することを目標としている。 2019年度は、自己集積型Co(III)-salen錯体によるエポキシドの不斉開環反応の適応型制御を展開した。現時点で既存のCo(III)-salen錯体触媒では適応が困難であった嵩高い環状メソエポキシドの水による不斉開環反応において、9種類の反応基質について高立体選択的な反応が進行することを確認しており、適応型の化学反応制御による高い選択性と広い適用性を兼ね備えた触媒反応を実現することができたと捉えている。現在、さらに適用性の拡大を試みるとともに、反応機構解析を進めている。 また、自己集積型Al(III)-salen錯体によるα,β-不飽和イミドの共役シアノ化反応の適応型制御についても展開した。自己集積型Al(III)-salen錯体は、既存のAl(III)-salen錯体では適用が困難な嵩高いβ位2置換るα,β-不飽和イミドの共役シアノ化反応も進行させることができ、この反応においても、適応型の化学反応制御によって、高い選択性と広い適用性を兼ね備えた触媒反応を実現できたと捉えている。現時点で7種類の反応基質について適用が可能であり、さらに適用性の拡大を試みるとともに、反応機構解析を進めている。 電荷移動相互作用を用いた異種集積型salen錯体による新奇触媒反応の探索も進めており、Al(III)-salen錯体とCo(III)-salen錯体を異種集積させた触媒を用いて、トリメチルシリルシアニドによるエポキシドの不斉開環反応が加速されることを見出した。現在、さらに検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた3つの研究課題を展開し、それぞれ予定した程度の成果を得ているため、概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
自己集積型Co(III)-salen錯体による嵩高い環状メソエポキシドの水による不斉開環反応については、さらに適用性の拡大を試みるとともに、反応機構解析を進める。また、並行して論文の作成を進める。 自己集積型Al(III)-salen錯体による嵩高いβ位2置換るα,β-不飽和イミドの共役シアノ化反応についても、さらに適用性の拡大を試みるとともに、反応機構解析を進める。こちらも、並行して論文の作成を進める。 電荷移動相互作用を用いた異種集積型salen錯体による新奇触媒反応の探索については、Al(III)-salen錯体とCo(III)-salen錯体を異種集積させた触媒を用いた、トリメチルシリルシアニドによるエポキシドの不斉開環反応の検討を進めるとともに、他の反応の探索も進める。
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Causes of Carryover |
予算額(1,100,000円)に合わせて使用することを心がけたが、残額が小額となり、予算額を超えてしまう状況となったため、次年度に持ち越して次年度予算と合わせて使用することとした。用途は次年度の物品費に含めて使用する。
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Research Products
(5 results)