2020 Fiscal Year Research-status Report
アルキニル-B(dan) を多様な有機分子へと導く合成化学的活用に関する研究
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19K05484
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
土本 晃久 明治大学, 理工学部, 専任教授 (80313716)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 遷移金属触媒反応 / ホウ素 / 多置換アルケン / アルキン / 芳香族化合物 / π共役 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請課題の当初の目的は,当研究室で様々な誘導体の合成に成功したアルキニル-B(dan) 1 を,多様な遷移金属触媒反応の基質として利用できることを明らかにし,これをもとに,有用有機分子の合成に繋げることであった。大別しては,[1] 1 の C(sp)-B(dan) 結合の遷移金属触媒直接変換と,[2] 1 の C≡C結合へのジボリル化と,生じるトリボリルアルケンに対する,位置選択的な繰返しの炭素-炭素結合伸長反応によるπ共役拡張分子の自在合成,の二つの実現を 目指した。 [1] に関して:我々は既に,パラジウム触媒存在下に 1 がハロゲン化アリールほか,様々な求電子剤と反応することを見つけている。これは,炭素-B(dan) 結合がパラジウム触媒存在下に反応することを明らかにした初めての例である。これに加えて2020年度には,1 が銅触媒存在下に 2-オキサゾリジノンと反応することを見つけた。これは,銅触媒によって炭素-B(dan) 結合が直接反応に利用できることを明らかにした初めての例となる。ただ現在では,目的生成物であるイナミド誘導体の収率が低い(約20%前後)こともあり,種々検討を重ねているところではあるが,B(dan) 骨格の窒素原子上にメチル基を導入した B(Me2dan) を持つアルキニル-B(Me2dan) 1' を使うと,収率が約50%程度まで向上することがわかっている。引き続き,収率の改善を計りたい。 なお,2019年度に研究成果が出始めていた 1,アリールボロン酸,ジハロゲン化アリールのパラジウム触媒三成分カップリングに関しては,現在も検討を重ねているところである。 [2] に関して:研究が順調に進行し,2020年度において研究成果の取りまとめを行い,学術論文を発表することができた(次ページ参照)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍において,研究協力者である大学院生の入構制限により,研究の実施機会が激減したため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要のところでも記載した,銅触媒反応と三成分反応に研究協力者を配置し,精力的に研究を進める。また,昨年度も記載したが,当初から実現を熱望していた,アリールーB(dan) の (sp2)-B(dan) 結合のパラジウム触媒直接変換についての研究が順調に進展してきている。生成物の収率,基質の適応範囲について,それなりに満足のいくレベルで結果が出てきているので、こちらについても研究を精力的に進めたい、と考えている。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響で,研究協力者の入構が制限され、当初の計画に従っての研究活動を実施できなかったたことが最大の理由となります。今後のコロナによる影響次第ではあるが,研究成果はまずまず順調に出てきているので,研究協力者による実験が効率よくおこなえるように研究を力強く推進していく予定であり,問題なく順調に進めることができれば,研究費については研究を進めるにあたっての試薬代等に計画的に使用できるものと考えている。
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