2023 Fiscal Year Annual Research Report
アルキニル-B(dan) を多様な有機分子へと導く合成化学的活用に関する研究
Project/Area Number |
19K05484
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
土本 晃久 明治大学, 理工学部, 専任教授 (80313716)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 遷移金属触媒反応 / ホウ素 / 多置換アルケン / アルキン / 芳香族化合物 / π共役 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請課題の当初の目的は、当研究室で様々な誘導体の合成に成功したアルキニル-B(dan) を、多様な遷移金属触媒反応の基質として利用できることを明らかにし、これをもとに、有用有機分子の合成に繋げることであった。 一方で,当研究室では,アルキニル-B(dan) と比べて活性化がより困難なアリール-B(dan) の炭素-ホウ素結合が直接に活性化可能であることを別途明らかにしていた。そこで,最終年度は,アリール-B(dan) およびこの関連化合物として,ヘテロアリール-B(dan) やアルケニル-B(dan) を鈴木ー宮浦クロスカップリング反応に直接利用することによる,実用的な反応の開発に注力した。当研究室では以前に,パラジウム触媒に Pd(OAc)2 (Ac = アセチル基)、配位子に dppf (1,1'-ジフェニルホスフィノフェロセン)、塩基に Ba(OH)2,溶媒に ジメチルホルムアミド(DMF)を用いる反応条件下に,鈴木ー宮浦クロスカップリング反応が進行することを見つけ,この成果を,研究論文として,いち早く2020年に発表していた。しかし,この反応条件を用いると,生成物の収率が50%程度にとどまっていた。そこで,真に実用的な反応条件を確立するために種々検討したところ,塩基に LiOH を用いることに加えて,きる限り禁水条件下を意識して実施できるような実験操作手順を採用したところ,生成物が90%超える程度の収率で得られることがわかった。新たに確立した反応条件と反応操作手順に基づいて,様々な基質の組み合わせでの鈴木ー宮浦クロスカップリング反応をおこない,ほとんどの反応が60%以上の収率で進行する,実用的な反応へと磨き上げることができた。なお,基質の組み合わせによっては,dppf の代わりに,P(t-Bu)3 やシクロオクタジエンが配位子として有効であることがわかっている。現在は,反応機構研究を行なっており,まとまり次第,論文として投稿する予定でいる。
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