2020 Fiscal Year Research-status Report
銀ナノプレートと機能性錯体との複合ナノ界面形成による近赤外光増強デバイスの構築
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19K05491
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
金井塚 勝彦 山形大学, 理学部, 教授 (50457438)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 近赤外 / 銀微粒子 / 光電流 / 界面 |
Outline of Annual Research Achievements |
近赤外領域に吸収を持つ化合物において,その光吸収効率を飛躍的に向上させることができれば,エネルギー変換素子,光触媒,光センシング技術を用いたバイオセンサーやバイオイメージング分野,医療等へ貢献できる.しかしながら近赤外に強い吸収をもつ化合物は限られており,近赤外の有効利用に関する研究領域はまだまだ未開拓である.本研究では,近赤外光を吸収する機能性分子と,近赤外光を吸収し周囲に増強電場を生じる三角形銀ナノプレート(AgTNP),とを電極上で接合した複合ナノ界面を構築することを目的とする. 初年度は,三角形銀ナノプレート(AgTNP)の合成実験をメインで行った.硝酸銀を出発物質として,還元剤を用いて溶液中で反応させ,一辺がおよそ100nmのAgTNPを合成した.合成の確認は,透過型電子顕微鏡および吸収スペクトル測定により行った.吸収スペクトル測定では三角形銀ナノプレート(AgTNP)に特有の長波長側に大きな吸収帯が観測された.しかしながら,球状の銀ナノ微粒子(AgNP)もAgTNPと一緒に合成されるため,AgTNPのみが吸着した界面を形成する必要がある. そこで二年度はこの2種のAgTNPとAgNPの分離について3つの方法を検討した.1つ目は合成直後に遠心分離を用いて分離する方法である.条件を変えてもほとんど分離効果が得られなかった.続いて,液ー液界面法を適用した.この方法では粒子サイズの大きなAgTNPのみを選択的に電極に固定できると期待した.しかしながらこの方法でもほとんど効果が得られなかった.次にテープ剥離法を試した.この方法はあらかじめAgTNPとAgNPとが吸着した電極に対して,スコッチテープを張り付け剥離することで片方を選択的に取り除くことである.その結果,選択的にAgNPをテープ剥離し,AgTNPのみが電極に固定された電極を用意することに成功した.表面観察は原子間緑顕微鏡を用いて行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
AgTNPのみが電極に固定された電極を作製することが今回の研究課題については重要となるが,テープ剥離法を適用することでそれを実現し,当初の計画通り進んでいると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる今年度では,近赤外に吸収を有する分子をAgTNPやITO電極に接合させる実験を行う.電極表面については原子間緑顕微鏡でモルフォロジー評価を,また吸収スペクトル測定により電子状態解析を,光電流発生については電気化学測定と光照射を組み合わせて実施する.最終的にこれらを論文としてまとめる.
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Causes of Carryover |
学会における成果発表予算を計上していたが、新型肺炎まん延により学会が中止になったため未使用が発生した。表面観察実験で予想以上にチップならびに電極を使用したため、次年度において、これらの消耗品を追加購入する。
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