2022 Fiscal Year Annual Research Report
求核的0価炭素配位子を基盤とした高活性金属錯体の新機能創出
Project/Area Number |
19K05500
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
久保 和幸 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 助教 (90263665)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 0価炭素配位子 / カルボジホスホラン / 白金錯体 / 結合活性化 / 協働反応 / 複核錯体 |
Outline of Annual Research Achievements |
0価炭素配位子は新しい反応性配位子として従来の有機金属化学を拡張し、未来の有機合成や機能性材料開発に大きく貢献する可能性がある。本研究では、代表的な0価炭素化合物であるカルボジホスホラン(CDP)に注目し、(1)「0価炭素-金属間協働的基質活性化反応の開発」と(2)「0価炭素架橋複核錯体の機能開発」という2つの視点からこの新しい0価炭素金属錯体の化学を展開した。 (1)ピンサー型CDP白金錯体が多くのE-H結合(E = B, C, N, Si, P)を活性化する能力を有することを明らかにした。特にSi-H結合活性化反応に注目し、これを基盤とした様々な有機不飽和化合物(アルキン、アルケン、アルデヒド、カルボン酸等)の触媒的シリル化反応を検討した。また、E=C=E’ (O=C=O, S=C=S, O=C=NPh)との反応によってC=E’結合の切断を伴ってEC白金錯体が生成することを見出した。以上の検討を通して、CDP錯体による協働的基質活性化反応を基軸とする触媒的有機合成の進展につながる重要な知見が得られた。 (2)ピンサー型CDP白金錯体を触媒とするアルキンのヒドロシリル化反応における金属塩添加効果を検討し、反応系中におけるCDP架橋による複核化反応や、それによる触媒反応加速効果について検討した。それらの結果から、複核化によるCDP錯体のさらなる高機能化、高活性化への端緒が得られた。さらに複核化に関連して、CDP配位子骨格自体に遷移金属フラグメントを導入したメタロCDPの合成を検討するにあたり、そのビルディングブロックとなるメタロホスフィンの合成を検討した。
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