2021 Fiscal Year Annual Research Report
弱い相互作用を活用した動的超分子錯体のヘリシティー制御と機能創出
Project/Area Number |
19K05505
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
三宅 弘之 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (00271198)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 超分子 / 金属錯体 / らせん / キラル / 構造変換 / 質量分析 / 分子認識 / アミノ酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者らが独自に開発した置換活性ならせん型金属錯体とそのヘリシティー構造の外部刺激応答性動的変換現象が、複数の弱い相互作用により制御されることに着目して、多彩な弱い相互作用によりヘリシティーをコントロールできる超分子らせん構造体の構築とヘリシティー変換に対する応答性の向上や外部刺激の組み合わせを検知する特異性の附与と記憶化を目指すものである。 (S)-フェニルアラニンからなる4座配位子の末端に金属イオンへの配位可能なジメトキシベンゼン基を導入した新規キラル配位子を設計、合成した。このキラル配位子と過塩素酸コバルトから調製したCo(II)錯体はフェニル基-アミド基-メトキシベンジル基からなる立体反発とアミド水素-メトキシ酸素間の水素結合、フェニル基とアミド水素からなるNH-π相互作用の組み合わせによってジアステレオマー過剰率 95 % 以上で左手系らせん構造を形成した。硝酸イオンの添加による右手系らせん構造への反転も実現したが、硝酸イオン非存在下においても用いる溶媒により左手系構造と右手系構造の存在比をコントロールできることも明らかとした。一方、有機塩基存在下での折りたたみ構造への変換も観測できたことから、多彩な外部刺激により多様な構造変換が達成され、その応答性の向上も実現できた。 らせん型動的超分子錯体の機能創出として、(S)-アラニンからなる4座配位子を用いたキラルな銅(II)錯体の重水素標識体および非標識体を用いて、エレクトロスプレーイオン化質量分析法を活用した遊離アミノ酸のエナンチオマー過剰率の同時分析法を開発した。この簡便法を用いると、12種類のアミノ酸のエナンチオマー過剰率を同時に高感度で測定することができることも示すことができた。
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Research Products
(10 results)