2020 Fiscal Year Research-status Report
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19K05512
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
川本 達也 神奈川大学, 理学部, 教授 (20204787)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 銅多核錯体 / 水素製造 / 水素生成触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までの研究成果に基づき、銅-硫黄クラスターの合成方法を確立する目的で出発錯体であるアセトニトリル銅(I)錯体([Cu(CH3CN)4]X)の対イオン(X)の効果に関して、側鎖フェニル基の3,5位に塩素原子を導入した錯体の場合について検討した。その結果、X = ClO4, PF6においては硫黄架橋環状八核錯体の+1価種が形成されたのに対して、X = BF4の場合には0価種が形成されていることがわかった。一方、3,5位の塩素原子をメチル基に置き換えた場合には、X = ClO4において硫黄架橋環状六核錯体の+1価種が形成され、X = PF6では0価種が形成されたこともわかった。このように、置換基によって硫黄架橋環状多核錯体の核数が変化するとともに、出発錯体の対イオンは生成物の酸化状態に影響を及ぼすことを明らかにすることができた。 犠牲剤、光増感剤、水素生成触媒から成る可視光による水からの水素製造システムにおいて、高い触媒活性を示すことがすでに明らかにされている側鎖フェニル基の2,4,6位にメチル基を有する硫黄架橋三核錯体の合成条件について検討した。その結果、出発錯体として[Cu(CH3CN)4]PF6を用いることで、目的とする三核錯体が高純度、高収率で得られることがわかった。次に、側鎖フェニル基の2,4,6位に塩素原子を導入した場合について比較検討したところ、メチル基の場合と同様な反磁性の三核錯体が高純度、高収率で得られることがわかった。したがって、今後、この両者を水素生成触媒として用いることで触媒作用における置換基の効果を解明することにより、反応機構の解明および触媒活性の向上につなげたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
実質半年の間、コロナの影響で入構禁止を含め、感染拡大防止措置により研究活動が停止したため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究により、可視光を利用した水からの水素製造システムにおいて触媒活性が見出されている硫黄架橋銅三核錯体について、置換基の異なる2種類の錯体の合成方法が確立できたことから、最終年度では、それらを用いた触媒反応における活性種の特定と反応機構の解明を目指す。また、硫黄架橋環状銅六核錯体について、同じシステムを用いた水素製造に対する触媒作用を検討するとともに、これまで活性がないものとされてきた硫黄架橋環状銅八核錯体についても現在の反応条件における触媒作用の有無を明らかにする。これらの結果を総合的に検討することにより、可視光を利用した水からの水素製造システムにおける水素生成触媒としての銅-硫黄クラスターの特性をまとめ、それに基づいて今後の展望を示す。
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Causes of Carryover |
人件費・謝金の調整結果、次年度使用額が生じた。人件費・謝金に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Structures and Properties of 4-phpy, pyz, and 4,4′-bpy Adducts of Lantern-Type Dirhodium Complexes with μ-Formamidinato and μ-Carboxylato Bridges2021
Author(s)
Handa, Makoto; Nishiura, Satoshi; Kano, Makoto; Yano, Natsumi; Akashi, Haruo; Mikuriya, Masahiro; Tanaka, Hidekazu; Kawamoto, Tatsuya; Kataoka, Yusuke
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Journal Title
magnetochemistry
Volume: 7
Pages: 39
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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