2019 Fiscal Year Research-status Report
Visualization of hydrogen storage amount in organic hydride by pi-conjugated helical polymers
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19K05517
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
馬渡 康輝 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 准教授 (40422000)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 有機ハイドライド / メチルシクロヘキサン / ポリアセチレン / らせん / 可視化 |
Outline of Annual Research Achievements |
メチルシクロヘキサン(MCH)は、水素貯蔵媒体として有望な液体有機ハイドライドである。MCHから脱水素するとトルエン(TOL)に変換される。この両者の混合比(以下、MT混合比と呼ぶ)は、ガスクロマトグラフィー装置で測定できる。本研究では、申請者らがこれまでに検討してきた、π共役らせん高分子の置換ポリアセチレン(SPA)が示すソルバトクロミズム様の色彩変化を活用して、MT混合比を勘弁かつ迅速に視認できる指示薬の主材として応用することを目指すこととした。初年度は、色彩可変SPAとMT分子間との分子間相互作用の差を引出すために必要な側鎖の最適構造探索を行った。 MCHとTOLの最も大きな違いは、芳香族分子か非芳香族分子かである。この差を最も引き出すにはSPAモノマーの側鎖に付与する芳香族部位が最も大きな役割を果たすとの考えに基づき、芳香族部位の大きさおよび縮合の度合いが異なる種々のモノマーを合成し、それらを重合反応に付して得られるSPAの色彩との関係調べた。その結果、主鎖に直結する芳香環および縮合環を構成する芳香環の数が増えるにつれて、色彩の変化が生じにくくなることがわかった。本検討で合成したポリマーでは、側鎖1残基あたり芳香環部位を3つ以下にすることがふさわしかった。この結果は、MCHまたはTOL分子とポリマーとの相互作用させるためには、ポリマーの側鎖芳香環間に生じるπスタック力を、適度に弱める分子設計が必須であることを示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に計画していた「分子間相互作用の差を引出す芳香族部位の最適構造探索」について、色彩変化に重要な役割を果たす側鎖芳香族部位の適した分子設計に目処をつけることができた。このように、次年度以降の検討項目である「色彩応答性能を高める官能基の探索」に向けて、有用な知見が得られたことから、達成度2と自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の結果より、側鎖の芳香環部位の大きさを大きくすると隣り合う側鎖間に生じるπスタック力が急激に増加したと考えられる。この知見に基づき、次年度は、側鎖官能基のうち、芳香族部位を最小化する分子設計を基本として、色彩変化の程度を大きくする官能基の検討をすすめる。
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