2020 Fiscal Year Research-status Report
有機蛍光色素による凝集誘起発光(AIE)を利用した新規近赤外蛍光分析試薬の創成
Project/Area Number |
19K05518
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
川上 淳 弘前大学, 理工学研究科, 准教授 (60261426)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 蛍光分析試薬 / 有機蛍光色素 / 凝集誘起発光 / 近赤外 / トリプタンスリン |
Outline of Annual Research Achievements |
有機蛍光色素の多くは平面構造で,希薄溶液中では強い蛍光を示すが,高濃度溶液中では分子がぴたりと積み重なった集積構造を形成して凝集起因消光(aggregation-caused quenching,ACQ)を起こす。そのため,有機蛍光色素による蛍光分析試薬は,高濃度溶液中での検出感度や定量性が低下する。 そこで本研究では,分子内に回転運動が可能な嵩高い置換基を導入することで,希薄溶液中では熱放射を伴う無輻射過程が勝り無蛍光で,高濃度溶液中では回転運動の抑制と集積構造の取り難さにより蛍光強度が増大する凝集誘起発光(aggregation-induced emission,AIE)を利用した,高濃度溶液中での検出感度と定量性に優れ,生体蛍光プローブとして最適な650 nm~900 nmで発光する近赤外蛍光分析試薬の構築を目指す。 2020年度は,2019年度に引き続き,当研究室で優れた吸収・発光特性が見出された分子内電荷移動(intramolecular charge transfer,ICT)型の有機蛍光色素である2-アミノトリプタンスリンを基本骨格とし,回転運動が可能な嵩高い置換基を導入したトリプタンスリン誘導体及び類縁体を合成し,その吸収・発光挙動について調べた。その結果,幾つかの系で,AIE挙動を示すことが確認できた。 また,研究の過程で得られた本研究と密接な関係のある固体発光に関する知見を論文にまとめ,査読付き学術論文誌(Transactions of the Materials Research Society of Japan, 2021, 46 (1), 45-48)で公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
凝集誘起発光(AIE)をする幾つかの化合物の合成に成功しており,その内容の一部は,既に査読付き学術論文で公表するなどしているものの,2020年度の前半はコロナ禍のため研究室での活動が制限され,金属イオンに対する応答性を調べる実験等が思うように進めることができず,若干ではあるが遅れてしまっている。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度の後半から,徐々に通常に近い形で実験ができるようになってきたので,若干の遅れを取り戻すべく,様々なタイプの凝集誘起発光(AIE)をする化合物の合成を進めて行き,それら化合物の吸収・発光挙動を明らかにするとともに,金属イオンに対する応答性等についても調べ、近赤外蛍光分析試薬としての性質を明らかにしていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
(理由)2020年度前半は,コロナ禍で研究活動に制限があったことと,物品の調達方法の工夫や所属機関の校費利用などにより,当初計画よりも経費の使用が節約できたため。 (使用計画)過度に節約することなく,翌年度分として請求した助成金と合わせて研究遂行のために適切に使用する計画である。
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Research Products
(4 results)